12 血液と免疫のおはなし(10)

黄疸のメカニズムについてのおはなしです。

「黄疸は胆汁色素の血液中濃度が高くなり、皮膚や粘膜に沈着したもの」

ここまではいいですね。

 

胆汁色素の始まりは、赤血球の中にあるヘモグロビンです。

赤血球は寿命が約120日。

赤血球が脾臓で分解されるとき、

ヘモグロビンはヘム(「ヘムだったもの」)とグロビンに分解されます。

ヘムはミネラルの鉄がちょっと形を変えたもの、

グロビンはタンパク質の部分です。

「5 タンパク質」の4次構造の図を見てもらえば、

ヘモグロビンの構造(ヘムとグロビンの関係性)が分かるはずです。

さらに「6 タンパク質代謝」も読めば、

ヘムがポルフィリン環に鉄がはまったものであることも分かりますよ。

 

赤血球から取り出された直後の「ヘムだったもの」は水に溶けません。

だから血漿タンパク質のアルブミンにくっついて肝臓まで運んでもらいます。

このときの姿は「間接ビリルビン」と呼ばれます。

ビリルビンは黄色い色素です。

これが黄疸のもとになる「胆汁色素」ですね。

肝臓に着くと、間接ビリルビンは形を変えて直接ビリルビンに。

直接ビリルビンは水に溶けるので、もうアルブミンは必要ありません。

このあと、直接ビリルビンは胆道を通ります。

このときはもうウロビリノーゲンという濁った黄緑色。

小腸に出たウロビリノーゲンは、ウロビリンという尿の色素に変わります。

ウロビリンは淡黄色ですよ。

そのまま腸管でさらに形が変わったものがステルコビリン

こちらは便の茶褐色です。

このように、ヘムという色素は名前と色を変えつつ

最終的に体の外へ捨てられていくのです。

 

黄疸のもとになる胆汁色素がヘム由来だということは分かりました。

では、そんな胆汁色素が血液中にたくさん流れ出しているのに

正常とされる「新生児黄疸」についておはなしします。

大前提は「胎児と成人のヘモグロビンは違う」ということです。

胎児は肺から空気中の酸素を取り入れることはできません。

胎盤で、母体の血液(中のヘモグロビン)から酸素を受け取る必要があります。

母体中のヘモグロビンより「酸素とくっつく力」の強いヘモグロビン、

「胎児型ヘモグロビン」が必要なのです。

でも産まれた後、肺で呼吸を開始したなら、

もう胎児型ヘモグロビンはいりません。

そこで、ヘモグロビンの総作り替え作業が始まります。

一度にたくさんのヘモグロビンを作り替えるので、

肝臓の処理能力を超えてビリルビンが出てきてしまいます。

これが「新生児黄疸」の原因です。

だから、生まれまれて数日の赤ちゃんの肌や粘膜が少し黄色くなっても

それは「胎児型から成人型へ」ヘモグロビンを作り変えている証拠。

病気でも何でもありません。

ただ、あまりにビリルビンが多いと脳などに悪さをする可能性があるので、

そのときは光線療法がとられますよ。

次回は「原則異常」のほうをおはなししますね。