12 血液と免疫のおはなし(4)
赤血球のおはなしは一段落。
白血球のおはなしに入ります。
白血球にはいろいろな種類がありました。
造血幹細胞からも、
白血球になるルートには2つありましたね。
リンパ球を作るルートと、
異物を食べる細胞を作るルートです。
白血球の共通点は「外敵から身体を守ること」。
種類によって守り方が違いますから、
そこを意識して読んでくださいね。
異物を食べる細胞ルートからは、
好中球、好酸球、好塩基球、
マクロファージ(単球)ができます。
最初は、好中球とマクロファージを覚えてください。
残りの2つは、勉強が進んでからでいいですよ。
好中球のお仕事は、
細菌やウイルスといった侵入者を食べること。
「貪食(どんしょく)」といいます。
細菌等の侵入者をパクっと食べ、
酵素で分解してしまいます。
好中球自身も死んでしまうため、
命を懸けた異物排除です。
もともとの寿命が数日しかないため可能な
異物排除方法とも言えますね。
マクロファージは「貪食」に加え
「抗原提示」もします。
抗原とは、異物(細菌やウイルス)そのもの。
食べたあと、侵入者である抗原の特徴を
細胞の外に出すのが「抗原提示」です。
役割が好中球より多いため、寿命も少し長めに。
早いものは数日で役目を終えますが、
ものによっては数年ものも残っていますよ。
もう1つのリンパ球ルートからは、リンパ球ができます。
リンパ球の働きは、ずばり「免疫」です。
「疫(はやりやまい)を免れる」ですから、
病気にかかることを防ぐ働きですね。
このリンパ球、成熟する場所よって名前が変わります。
骨髄(Bone marrow)で成熟するのは、Bリンパ球。
抗体を作るのが、Bリンパ球の仕事です。
「抗体」とは、
異物(細菌やウイルス)を捕まえるガードマン。
「1 細胞とアレルギー」で出てきたIg-Eは、
5種類の抗体の1つです。
胸腺(Thymus)で成熟するのは、Tリンパ球。
こちらはマクロファージが
提示してくれた抗原情報を受け取ります。
そのあとの挙動で、さらにTリンパ球は2つに分かれます。
「あの抗原がついている細胞は壊してしまえ!」と
細菌やウイルスにやられた細胞を壊すのがTh1リンパ球。
「あの抗原を捕まえる抗体を作ってね」と
Bリンパ球に抗体作成を依頼するのがTh2リンパ球。
細胞に直接働きかけるTh1リンパ球による免疫を
「細胞性免疫」といいます。
抗体が主役になって行われる免疫を「液性免疫」と言います。
このように、いろいろな体の守り方がありました。
高度な防御システムで体は守られているのですが…
途中がおかしくなると、大変なことになります。
次回、そこをおはなしますね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220625更新)