3 糖質と糖質代謝のおはなし(1)
代謝の個別のおはなしを始めましょう。
トップバッターは、糖質(糖)です。
糖の役割は、なんといってもATPのもとになること。
それだけではありません。
形を変え、私たちの体の成分(粘液や無毒化のお手伝い)にもなってくれますよ。
糖と言ってもたくさん種類があるので、種類分けをしておきましょう。
まず、1個だけの糖(単糖)とたくさんの糖(多糖)に分けます。
多糖の中はさらに2~10個単糖がくっついた「オリゴ糖」と、
もっとたくさん糖がつながったもの「(狭い意味での)多糖」に分けられます。
ここから、さらに単糖の中を分類。
1個だけの糖(単糖)は、
何個の炭素(C)でできているかで分けることができます。
ヒトについて考えるとき、特に大事なのが炭素5個の五炭糖と炭素6個の六炭糖。
炭素5個の糖(ペントース)は、遺伝子に必要な糖。
リボースも、デオキシリボースもペントース(五炭糖)です。
「ペンタ」は、「5」を表す接頭語。
アメリカの国防総省は、五角形なので「ペンタゴン」ですね。
炭素6個の糖(ヘキソース)が、ATPを作る主役になる糖。
グルコース、フルクトース、ガラクトースがヘキソース(六炭糖)です。
グルコースは「ブドウ糖」、ガラクトースは「果糖」の方がおなじみかも。
ヘキソースは登場頻度が高いので、早めに覚えてしまいましょう。
「ヘキサ」は「6」を表す接頭語。
六芳星(✡)は「ヘキサグラム」といいますよね。
先程と対比するなら、普通の星(五芳星:☆)は「ペンタグラム」ですよ。
多糖についても分類を追加しておきましょう。
単糖が2~10個つながったものをオリゴ糖と呼びますが、
特に単糖が2つつながったものは「二糖」と呼ばれる方が多いです。
二糖はよく出てくるので、名前を覚えてしまった方がいいですね。
マルトース、ラクトース、スクロースです。
これまたマルトースは「麦芽糖」、
ラクトースは「乳糖」、スクロースは「ショ糖」のほうがおなじみかも。
普段使われている「お砂糖」は、スクロースですよ。
単糖がたくさんつながったものは「多糖」。
オリゴ糖より多くつながったものが「(狭い意味での)多糖」です。
ここに入るのが植物細胞のセルロースやデンプン、
動物細胞のグリコーゲンです。
これらは糖だけがたくさんつながった多糖です。
もちろん、糖以外のものがつながった多糖もありますよ。
ヘパリンやヒアルロン酸がここに入ります。
普段化粧品でお世話になっている保湿成分は、
糖からできていたんですね。
次回は、糖の結合からおはなしします。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220227更新)