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10 各論5:体温(感染・免疫):⑥ワクチン(予防接種)(2)

2023年5月3日

法定ワクチンの中身ですね。

ヒブ(インフルエンザ菌b型)、肺炎球菌、

DPT-IPV、BCG、MR、水痘、日本脳炎、子宮頸がんワクチンです。

 

インフルエンザにはウイルス性だけでなく

細菌性のものがあること、これで分かりますね。

途中の暗号めいたアルファベットの中で、

BCGは結核菌のワクチンということは分かるはず。

DPT-IPVは4種混合。

ジフテリア菌、百日咳菌、破傷風菌、

そしてポリオ(急性灰白髄炎:ポリオウイルス)です。

MRというのは、麻疹ウイルスと風疹ウイルスのことですね。

 

「破傷風菌は芽胞を作ると退治が大変だからかな。

あれ?ディフィシルとボツリヌス菌は?」

 

ボツリヌス菌は飲食物で、かつ、

空気に触れないところで増える嫌気性菌です。

時々殺菌が不十分だった

缶詰や真空パック食品で問題になることはありますが、

普段の食事で心配はいらないはず。

ディフィシルは腸の中にいますが、

ごくマイナーな菌なので、普通は悪さをしません。

悪さをするとしたら、腸内菌叢が大変化してしまった…

抗生物質による「偽膜性大腸炎」ですね。

 

子宮頸がんは、現在唯一の

「ワクチンである程度予防できる」がんです。

原因になるヒトパピローマウイルスのワクチンですね。

でも注意。

「子宮頸がんは100%

ヒトパピローマウイルスのせい」ではありませんよ。

このウイルスは、皮膚に出来る「いぼ」と

粘膜に出来るいぼ(尖圭コンジローマ等)の原因でもあります。

 

これらワクチンは、必要に応じて接種することが大事。

海外旅行のときには、

現地に合ったワクチンの追加接種が必要です。

流行の兆しがあるときには、

感染すると大問題の医療職従事者は

早めにインフルエンザワクチンを接種です。

 

そして改めて注意。

これらワクチンは「異物を体の中に入れる」ことそのものです。

だから「現在何かに感染中の人」や体調が悪い人、

妊娠中の人はワクチン禁止です。

特に法定ワクチンは無料期間が過ぎそうになると

「多少の熱や鼻水ならいいか!」と

無理をする接種希望者が増えがちです。

 

でも、体内免疫状態が悪いときに異物が入ってきては、

いらぬ大苦戦を強いられる可能性があります。

そもそも「体の中は一次応答状態!」ということを

忘れてはいけません。

 

ワクチン(特に法定ワクチン)を受けないことは、

とても危険なことです。

何のために「副作用があると分かっていますが、

一定期間無料にしますので

ワクチンを受けてください」と法律で決めたのか。

微生物学や病態学等で、

対象になっている菌・ウイルス(や病気)を確認してみてください。

そうすれば、ワクチンの意味と必要性が理解できるはずですよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230503更新)