3 糖質と糖質代謝のおはなし(8)
残った糖質代謝のおはなしです。
「糖新生」「グルコースをグリコーゲンに」
「ペントースリン酸回路」「糖質から脂質に」ですね。
「糖新生」は糖以外の物から糖を作ること。
なぜ糖を作るのか…というと、原則として糖しか使えないところがありましたね。
脳と赤血球でした。
脳は止まると一大事なので、ケトン体という非常食もありましたよ。
何から糖を作るのか、と言われたときによく出てくるのが乳酸です。
乳酸は解糖系の酸素不足時にできました。
そのまま筋肉に居座ったのでは、TCAサイクルにも入れず、役立たずです。
でも、血液で肝臓に運んであげれば…!
合成工場の肝臓が、乳酸をグルコースに変えてくれます。
これなら筋肉に戻してあげれば、またATPを取り出せますね!
筋肉は貯蔵と消費の場、肝臓は合成・分解もできる場所。
血液にのせて運んであげる意味、分かりますよね。
「激しい運動直後はすぐに立ち止まらず、息を整えながらゆっくり歩け!」
…なんて体育の授業で言われませんでしたか?
そこには、乳酸を筋肉から肝臓に運び、糖新生を…という深い狙いがあったのです。
「グルコースをグリコーゲンに」は、貯蔵形態合成ですね。
合成ですから、肝臓のお仕事。
貯めておく場所は筋肉と肝臓です。
筋肉のグリコーゲンは筋肉収縮専用。
肝臓のグリコーゲンは、食間時(空腹時)の血糖維持です。
目的が違いますから、間違えないでくださいね。
「ペントースリン酸回路」は、核酸(DNA・RNA)に使う糖を作ることが目的。
ペントースは、五炭糖でしたね。
ペントースに含まれるリボースやデオキシリボースを作ります。
このとき出てくるNADPHは商品券3号でした。
「糖質から脂質に」…これは分かりやすい。
糖質はATPのもとになりますが。
貯めておく効率でいえば、脂質の方が勝ります。
だから、余った糖質があったらある程度はグリコーゲンの形で貯めますが。
さらに余ったら脂質にして、しっかりととっておけるようにしているのです。
これ、まさに「甘いものを食べ過ぎると太る(脂肪が付く)」こと。
でも脂肪だって、ちゃんとした役目があるんですよ。
「脂肪は敵だー」なんて考え方はやめましょう。
ここについては、脂質のところでちゃんと理解しましょうね。
以上、8回にも及ぶ糖質と糖質代謝のおはなしでした。
狭い意味での代謝と広い意味での代謝の関係、
ちゃんとつなげて理解できましたか?
細胞が動くためにはATPが必要で、
そのためには臓器や酵素の働きが必要で、
臓器が働くためにはやっぱりATPが必要で…。
狭い意味と広い意味の話は、決して別物ではありませんからね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220227更新)