4 血糖と糖尿病のおはなし(1)
糖質と糖質代謝のおはなしが終わりましたので。
「血糖と糖尿病」の説明に入りましょう。
まず、血糖というのは、血液中の糖のことです。
ご存じのとおり、糖にはたくさんの種類があります。
単糖だけでもペントースとヘキソースがいました。
ヘキソースだけでも、3人いましたね。
「『糖』とあったらグルコース!」のお約束に従い、
ここから先「血糖」は
「血液中のグルコースのことだ!」と思ってください。
では、血糖値とは何か。
これは「血液中のグルコース濃度」のこと。
なぜグルコースが血液中に溶けているのか…は想像つきますよね。
グルコースは細胞のエネルギー(ATP)のもとになるから、
血液がグルコースを細胞のところに運んで行ってあげるためです。
当然、食事をすれば血液を流れるグルコースの量は増えます
(グルコース濃度が高くなります)し、
食間時には血液を流れるグルコースの量は減ります
(グルコース濃度が低くなります)。
「血糖値は動くものだ」ということを覚えましょうね。
では、どれくらい動くかを数字で確認。
空腹時(食間時)の血糖値は70~110mg/㎗が正常とされます。
食後1時間後は180mg/㎗くらいまで上昇します。
食後2時間もたつと、120mg/㎗に下がってきます。
あとは繰り返しです。
70~180までの間を毎日動く、これが血糖値です。
単位を確認しましょうか。
1㎗あたり、
グルコースが何mg(ミリグラム)溶けているか、ですね。
単位の接頭語にも慣れましょうね。
デシ(d)は1/10(=0.1)を、
ミリ(m)1/1,000(=0.001)を示す接頭語。
無理やり基準となるリットルとグラムに直すと、
「0.1リットル中に
0.001gの何倍グルコースが溶けているか」が
「mg/㎗」です。
こんなに動くのでは、
血液検査はいつとったかが問題になってくるね…。
はい、だから血液検査前は
前日夜から(特定の飲み物を除く)絶飲食になるのですね。
…じゃあ、その前の日だけ食事に気を付けていれば
糖で引っかかることはない?
残念ながらそれはできないお話です。
血糖の指標には「ヘモグロビンA1c」というものもあります。
こちらは数か月レベルの血糖値の変化を反映したデータが出ます。
「ちょっと前の日だけ…」は通用しません。
「ヘモグロビン」については、
この先の「タンパク質」のところでおはなしします。
そこまで行ったら、また会いましょうね。
血糖値という1日の中でも動く指標と、
ヘモグロビンA1cという長期的指標があること、
分かりましたね。
次回は血糖値を維持するホルモンについての
簡単なおはなしです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220313更新)