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8 脂質代謝のおはなし(2)

2022年5月2日

前回の脂質の消化吸収で活躍してくれた、

胆汁酸についてもう少しおはなししましょう。

 

胆汁酸は肝臓で作られています

名前から「胆嚢で作られているんじゃないの?」と

勘違いされがちです。

胆嚢は濃縮・待機場所

作られる場所は肝臓です。

 

食べ物が入ってくると、

「消化吸収のためにゴー!」と胆嚢が縮み、

胆汁酸が十二指腸に押し出されます。

そこで脂質がやってくれば、前回勉強した通り。

でも食事内容によっては

脂質がやってこないこともあります。

せっかくの胆汁酸が無駄遣いになるのは、

嫌な感じですね。

だから、使われなかった胆汁酸は小腸で吸収されます。

そして門脈という血管を通って、肝臓に戻ります。

この胆汁酸のリサイクル腸肝循環です。

字に注意!

「小腸」と「肝臓」の間の循環なので、

「腸肝循環」です。

油断すると腸の管の循環(腸管循環)と変換されてしまいます。

どことどこの間の循環(ぐるぐる回り)なのか、

意識して覚えてくださいね。

胆汁酸のリサイクルは腸肝循環です。

 

リサイクルは大事ですが、余ったら?

 

胆汁酸が余ってきたら、再吸収されずに

そのまま小腸から大腸、

そして体外へと排出されますよ。

 

「ぐるぐる回り」の言葉が出てきたので、

前回途中になってしまった

リンパ管についての補足もしておきましょう。

 

リンパ管はリンパの流れる管。

流れの途中で、血管の静脈系と合流します。

その合流地点として覚えてほしいのが、

左鎖骨下静脈です。

他にも合流地点はありますが、

約3/4のリンパは左鎖骨下静脈へと流れ込みますので

最初はメインになるところから覚えましょうね。

 

「リンパ」という書き方をせず

「乳糜(にゅうび)」と書いてある本もあるはずです。

これは色に注目して名付けられたせい。

リンパは脂質を中に入れた

キロミクロンが流れていましたね。

キロミクロンが多い液体は乳白色に見えます。

乳は「ちち」、糜(び)は「粥(かゆ)」のこと。

ちちのように、

おかゆのように白く見える…ので「乳糜」です。

リンパ管の代わりに「乳糜管」と書いてあったら、

同じ理由によるものですよ。

 

リンパは始まりがはっきりしないため、

解剖生理の本でもちょっと説明しにくい分野です。

それは細胞の周囲に余った液体を外へと流しだすため、

最初は目に見えないほどのかすかな流れが生まれます。

やがてそれらが集まり、

少し太いところに流れ込んだものが

「リンパ(通るところが「リンパ管」)」と呼ばれるせいです。

イメージとしては側溝。

晴れているときには何も流れていませんね。

雨がたくさん降ると、

余計な水は側溝を伝って川などに流れ出ていきます。

リンパは余計な水分等を

血管(静脈)へと流しだす通路としての

働きがあるのですよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220502更新)