8 脂質代謝のおはなし(2)
前回の脂質の消化吸収で活躍してくれた、
胆汁酸についてもう少しおはなししましょう。
胆汁酸は肝臓で作られています。
名前から「胆嚢で作られているんじゃないの?」と
勘違いされがちです。
胆嚢は濃縮・待機場所。
作られる場所は肝臓です。
食べ物が入ってくると、
「消化吸収のためにゴー!」と胆嚢が縮み、
胆汁酸が十二指腸に押し出されます。
そこで脂質がやってくれば、前回勉強した通り。
でも食事内容によっては
脂質がやってこないこともあります。
せっかくの胆汁酸が無駄遣いになるのは、
嫌な感じですね。
だから、使われなかった胆汁酸は小腸で吸収されます。
そして門脈という血管を通って、肝臓に戻ります。
この胆汁酸のリサイクルが腸肝循環です。
字に注意!
「小腸」と「肝臓」の間の循環なので、
「腸肝循環」です。
油断すると腸の管の循環(腸管循環)と変換されてしまいます。
どことどこの間の循環(ぐるぐる回り)なのか、
意識して覚えてくださいね。
胆汁酸のリサイクルは腸肝循環です。
リサイクルは大事ですが、余ったら?
胆汁酸が余ってきたら、再吸収されずに
そのまま小腸から大腸、
そして体外へと排出されますよ。
「ぐるぐる回り」の言葉が出てきたので、
前回途中になってしまった
リンパ管についての補足もしておきましょう。
リンパ管はリンパの流れる管。
流れの途中で、血管の静脈系と合流します。
その合流地点として覚えてほしいのが、
左鎖骨下静脈です。
他にも合流地点はありますが、
約3/4のリンパは左鎖骨下静脈へと流れ込みますので
最初はメインになるところから覚えましょうね。
「リンパ」という書き方をせず
「乳糜(にゅうび)」と書いてある本もあるはずです。
これは色に注目して名付けられたせい。
リンパは脂質を中に入れた
キロミクロンが流れていましたね。
キロミクロンが多い液体は乳白色に見えます。
乳は「ちち」、糜(び)は「粥(かゆ)」のこと。
ちちのように、
おかゆのように白く見える…ので「乳糜」です。
リンパ管の代わりに「乳糜管」と書いてあったら、
同じ理由によるものですよ。
リンパは始まりがはっきりしないため、
解剖生理の本でもちょっと説明しにくい分野です。
それは細胞の周囲に余った液体を外へと流しだすため、
最初は目に見えないほどのかすかな流れが生まれます。
やがてそれらが集まり、
少し太いところに流れ込んだものが
「リンパ(通るところが「リンパ管」)」と呼ばれるせいです。
イメージとしては側溝。
晴れているときには何も流れていませんね。
雨がたくさん降ると、
余計な水は側溝を伝って川などに流れ出ていきます。
リンパは余計な水分等を
血管(静脈)へと流しだす通路としての
働きがあるのですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220502更新)