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4 体温のおはなし(1)血液・免疫(5)

では、白血球の働きが不十分になるのはどんなときか。

好中球は感染症や火傷、糖尿病に続くかたちで

機能低下が起こります。

糖尿病で怖い「易感染性」は、ここに入りますよ。

リンパ球も感染症で働きがおかしくなることがありますね。

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)がTリンパ球に感染すると、

AIDS(後天性免疫不全症候群)を引き起こします。

 

EBウイルスの初感染が「伝染性単核球症」。

初回の感染で、

Tリンパ球が少し変になったものが血液中に出てきます。

三主徴は発熱・リンパ節腫大・咽頭炎。

かなり普通の「ちょっと体の調子悪い」状態ですね。

日本では幼年期に約半数がかかり、

成人までにほぼ100%が初回感染終了です。

知らず知らずのうちに体験済み、それが伝染性単核球症です。

 

(2) 造血幹細胞の異常

個別の白血球だけが「働きが変!」のなるのではなく、

「そもそもが変なんだけど…」ということもありえますね。

原因は、造血幹細胞かもしれません。

造血幹細胞は、骨髄にある全ての血球になれる細胞。

造血幹細胞が、

自分をうまくコピーできなくなったものが骨髄異形成症候群。

7割以上は50代以降の発症ですが…

原因がよく分かっていません。

血球が減って貧血で見つかり、

必要に応じて輸血や造血幹細胞移植をしていくことになります。

 

造血幹細胞が変になると、

「①ちゃんとした血球ができなくなった」、

「②血球はちゃんとしているけど多すぎ!」が起こりえます。

①の例が白血病、②の例が多発性骨髄腫ですね。

 

白血病は造血幹細胞が変になったせいで、

「正常な血球」ができなくなってしまったもの。

赤血球も、白血球も、血小板も全部出来損ないばかり。

働いてくれる赤血球不足で、

めまい、動悸、息切れ等の酸素不足症状。

働いてくれる白血病不足で感染症にかかりやすくなり、

働いてくれる血小板不足で出血傾向が出てしまいます。

あとは「変な血球」の白血病細胞がたくさんいるせいで、

吐き気・嘔吐、肝脾腫が出てしまいます。

白血病の区分に使われる用語には、ちょっと注意が必要。

「急性(A)」というのは、

誰だかわからない状態の白血球ができること。

「慢性(C)」というのは、

一見正常だけど実は役に立たない白血球ができることです。

そして「一応リンパ球に似てる?」

ものができるのが「リンパ性」。

それ以外の「好中球や単球に似てる?」

ものができるのが「骨髄性」です。