8 脂質代謝のおはなし(3)
忘れないうちに、
リポタンパク球のおはなしをしておきましょう。
前回出てきたときは、
名前と大きさの確認をしましたね。
今回は、働きも頭に入れてください。
キロミクロンは前回も出てきましたね。
小腸上皮で吸収した中性脂肪を運ぶ役割でした。
血管ではなく、リンパ管に入る話もしましたね。
VLDL(超低密度リポタンパク質)は、
肝臓で合成した後の中性脂肪を運ぶ役割。
大きいほう2つは
「中性脂肪(TG:トリグリセリド)」を、
「肝臓」へ、
もしくは「肝臓」から運ぶところがポイントです。
LDLとHDLの運ぶものは、
肝臓で作り直した後のコレステロールです。
LDL(低密度リポタンパク質)は末梢細胞…
つまり全身の細胞へとコレステロールを
運んでいく働きがあります。
コレステロールは、敵ではありませんでしたよね。
細胞膜を構成する、大事な膜成分です。
HDL(高密度リポタンパク質)は、
末梢細胞から古くなった
コレステロールを引き抜いて肝臓に戻ります。
肝臓で、また別な脂質に作り替えるためです。
小さいほう2つは、
末梢細胞へ、もしくは末梢細胞から
「コレステロール」を運ぶことがポイントですね。
このように、4つあるリポタンパク質ですが…
大きいほう2つと小さいほう2つに分け、
何を・どこに運ぶのか意識すると理解しやすくなります。
あれ…?
コレステロールが細胞膜の成分で
悪い奴じゃないってことは、
実はLDLも悪い奴じゃないのかな…?
はい、よく気付いてくれました。
血液中の脂質成分の正常値(基準値)を見ると、
LDLには上限も下限もあります。
悪玉コレステロールなんて呼ばれることもあるLDLですが、
少なすぎれば細胞膜に必要なコレステロールが届きません。
つまり、多すぎはよくないけど、少なすぎもよくないのです。
これを書いている現在(2018、4月)、
70~139㎎/㎗がLDLの基準値です。
同様に、HDLにも上限がありますよ。
善玉コレステロールと呼ばれるHDLだって、
多すぎれば引き抜かれていくコレステロールが多すぎて、
これまたよろしくないのです。
40~80(女性では40~90)mg/㎗がHDLの基準値ですね。
ちなみに、
巷(ちまた)で悪者にされがちなコレステロールだって、
少なすぎると病気判定されてしまいますよ。
何事も適正適度が一番。
リポタンパク質も、また然り…なのです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220502更新)