2 細胞分裂:自分が自分でいるために(4)
前回までで、細胞内のDNAはちゃんとフルコピーできました。
安心して、細胞分裂のおはなしに入りましょう。
細胞分裂には、体細胞分裂と減数分裂があります。
先に体細胞分裂のおはなしをして、
理解が進んでから減数分裂のおはなしに入りますよ。
体細胞分裂とは、
1個の細胞が2つに分かれて2個の細胞になるもの。
2つに分かれたときに設計図(DNA)が半分になったら、
お直しができなくて困ったことになってしまいます。
だからDNAはフルコピーをして、
2倍にしてから分裂しないといけません。
でも「2倍にしたから絶対安心!」とも言えません。
いざ細胞分裂したら
「設計図のある分は2倍あるけど、別のところはゼロ…」では困ります。
だから、生物は2倍にしたDNAを
ちゃんと1セット(設計図2枚)ずつ2つの細胞に分ける工夫をしています。
DNAをぎゅっと集めた染色体の形にして、
それから細胞それぞれに分けることにしたのです。
ヒト染色体は常染色体22対(ペア)、あとは性染色体2本。
これらを同じ番号どうし向かい合わせてから、
両端にぐぐっと引っ張っていきます。
こうすれば重なりも欠けもなく、
1この細胞が2個の細胞に分かれることができそうですね。
一連の流れが分かったところで、段階分けしてみていきましょう。
1つの細胞が分裂するサイクルを「細胞周期」と呼びます。
最初がDNAのフルセットコピー。
これは分裂と分裂の間にするので、「間期」です。
分裂を実行する「分裂期」は、
前期・中期・後期・終期と分けることができます。
DNAが染色体として集まり始めて、
核膜が薄れていくのが前期。
太いX字型(やY字型)になって、
同じ染色体番号どうし向かい合わせるのが中期。
細胞の両端にぐぐっと引っ張られて、
1セットずつに分けられるのが後期。
細胞の中央がくびれて2個の細胞になり、
核膜ができるにしたがって元の状態へとDNAがほどけていくのが終期です。
分裂する前の細胞を母細胞と呼び、
分裂した後の細胞を娘細胞と呼ぶのがお約束です。
だから「母細胞が間期の準備ののちに、
分裂期を経て、娘細胞になる」のが細胞周期です。
「なぜ女性ばっかりなんだ!性差別だ!」と言いたくなる人もいると思いますが。
現在、ヒトで子を産めるのは女性だけ。
次々と細胞分裂することが期待されている以上、
この細胞世界だけでは細胞の名称が女性になることを許してくださいね。