3 臓器:大事な大事な役割分担(4)
「吸収しやすい形」を意識しないといけないもの、
それが脂質。
脂質は水嫌い部分(炭素と水素の鎖)が長いので、
全体として水嫌いです。
消化管の中は食べ物や飲み物の水分だらけ。
せっかく消化酵素リパーゼが、
脂質を吸収できる大きさにしても…
そのままでは水嫌い同士集まって固まりに!
これでは、うまく脂質を吸収できません。
そこで働くのが、消化酵素を「助けるもの」…胆汁酸です。
ミセルという球体を作らせるのが、
肝臓で作られる胆汁酸の役目。
「ミセル」という言葉は大事なので、覚えてくださいね。
ミセルについて、もう少し説明。
スタートは、水嫌いの脂肪酸に「大きな水好きの物」がくっついて、
複合脂質(しかも水とも油ともなじむもの)ができること。
水とも油ともなじむことを「両親和性」といいます。
水の中に複合脂質を入れると、
「外側は水好き、内側は水嫌い」の球が出来上がります。
これがミセル。
ミセルを作らせる胆汁酸は、
脂肪酸のような単純脂質が形を変えた複合脂質の一種です。
水に対して十分な量の複合脂質があると、
水の表面に膜を作ることができます。
水面に接する部分は水好きの集まり、
その反対側は水嫌いの集まり。
さらに水嫌い同士が集まる結果、
最終的に残った水好き部分が外になります。
一見ただの平面ですが、
よく見れば小さなパーツの集まり。
破れることなく、ものを通過させることのできる膜です。
そう!
生体膜(細胞膜やゴルジ体)は、複合脂質からなる膜が主成分!
だからものの出し入れができ、
袋状に詰めてから切り離すこともできたのですね。
このように。
栄養を小腸で吸収するためには、
そこに届くまでに吸収しやすい大きさ・形にしておくことが必要。
だから生化学や解剖生理学で、
消化器系の勉強をする必要があるのです。
もちろん、栄養分を吸収し終わった後の
「残りかす」を捨てることも消化器系のお仕事。
「体に入れる・体から出す」、
どちらの視点も、ちゃんと意識しておきましょう。
続いて、呼吸器系と循環器系をまとめた簡単なおはなし。
呼吸器系の目的は、
体の外(空気)から酸素を取り入れること。
循環器系の目的は、
血液を全身にめぐらせること。
これ、無関係な話ではありませんよね。
せっかく酸素を取り入れても、
血液にのって全身の細胞まで届けられなければ意味がありません。
血液が流れても、酸素が入っていないなら
できるATPは2個どまりになってしまいます。
だから、呼吸器系と循環器系は
まとめてしまった方が理解しやすいはずですよ。
次回、具体的な中身のおはなしに入ります。