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8 各論3:体温(消化器系):口から十二指腸(2)食道・胃・十二指腸(2)

2023年1月9日

胃酸(塩酸:HCl)に必要な

水素イオン(H⁺)を提供する

プロトンポンプを邪魔する薬として、

オメプラゾールを見てみましょう。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059629

薬自身に対する過敏症は、

他の薬でもおなじみの禁忌ですが。

抗HIV薬のアタザナビル硫酸塩と

リルピビリン塩酸塩が禁忌になっていますね。

抗HIV(ヒト免疫不全ウイルス)薬すべてではなく、

アタザナビル硫酸塩と

リルピビリン塩酸塩だけが禁忌になる理由。

それはこの薬がpH依存で溶ける薬だからです。

胃酸がちゃんと出ている(強酸性)環境で溶けないと、

小腸でちゃんと吸収してもらえません。

だから胃酸を作るところを

直接邪魔するオメプラゾールを飲んでいたら、

吸収不十分を起こして困ってしまいますよ。

 

では「プロトンポンプを動かす命令」を

受け止めるところに働くお薬はどうか。

 

ガストリンは、胃酸を出させるホルモンでしたね。

ガストリン受容体をブロックする

プログルミド(プロミド)というお薬はありますが、

少々働きが弱め。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00053971

副作用に便秘・口渇といった消化器系症状があります。

…なんだか「抗コリン作用」が気になりますね。

 

抗コリン作用がストレートに出るものが

M1ブロッカーのピレンゼピンです。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00065693

「M1受容体」ときいても、

何だかピンときませんね。

副交感神経系の受容体について

簡単に紹介しておきましょう。

 

交感神経系の受容体にはα1、α2、β1、β2があって、

いる場所も働きも違いましたよね。

同じように、

副交感神経系の受容体にも種類があります。

まず、ニコチン受容体と

ムスカリン受容体に大きく分けられ、

さらに中が細かく分けられます。

今確認しているムスカリン受容体には、

M1からM5まであります。

M1受容体は、脳と分泌腺、交感神経系で働く受容体。

だから、M1受容体をブロック(邪魔)すると、

分泌腺から胃酸が出ることが止まる(もしくは減る)のです。

 

M1ブロッカーの意味が分かったところで、

ピレンゼピンのおはなし。

「禁忌」ではありませんが、

慎重投与のところに

緑内障と前立腺肥大症の文字が見えますね。

副交感神経系の受容体の1つをブロックしたので、

交感神経系優位になります。

交感神経系優位のとき、

これらは悪化しやすい病気でしたね。

「どうしてそうなるのか」については、

低血圧(昇圧薬)のところでおはなししましたよ。

 

当たり前のことですが、

副作用は抗コリン作用ドンピシャです。

副交感神経系の神経伝達物質アセチルコリンが

はまるところを邪魔しているから…ですね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230109更新)