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11 精神のおはなし(3)3大欲求障害、時期・段階に特徴的な障害(6)

2 時期・段階に特徴的な精神障害

精神にかかるストレスの内容は、

年代(成長・発達段階)によって異なります。

成長・発達に応じて出現しやすい

(目に付きやすい)障害のおはなしです。

 

(1)小学校卒業まで

まず、小学校卒業前に問題になってくるものが

「注意欠如・多動性障害(ADHD)」、

「チック障害」、「トゥレット症候群」、

「学習障害」、「知的障害」です。

注意欠如・多動性障害は脳機能の障害が

主原因と考えられていますが、詳細は不明のまま。

忘れっぽく気が散りやすい「著明不注意」、

じっとしていられない「多動性」、

考える前に思いついたら

即行動してしまうのが「衝動性」。

これらが混在することもあります。

 

まずは本人と面接し、それから家族に情報の提供です。

もちろん、学校との連携を欠かしてはいけません。

薬物療法は最後の手段。

下級生を殴る、万引きをする等の

重大症状が出てしまったら、

メチルフェニデート徐放剤が使われます。

精神刺激剤とも呼ばれる、

ナルコレプシーに使われるドーパミンや

ノルアドレナリンを活性化するお薬です。

成人で発症した場合には、仕事が続かない、

友人がいない、会話が難しい等が

「重大症状」にあたりますよ。

 

チック障害は突発的で、不規則な、

体の一部の早い動きや発声を繰り返す状態で、

その状態が一定期間継続するもの。

トゥレット症候群は多様な音声及び

運動チックが合併して、1年以上続いているものです。

遺伝的因子と環境因子があり、多くは7歳くらいで発症します。

チック障害やトゥレット症候群に関して

「溶血連鎖球菌感染後の自己免疫が悪さをする」

ことは分かっていますが、

それ以外の大多数では直接原因はじめ詳細は分かっていません。

 

チック障害で体の一部分にとどまるものが「単純チック」。

顔しかめや、瞬き(まばたき)がこれにあたりますね。

複数の部位にわたると「複合チック」。

トゥレット症候群では、

汚言やエコラリア等の(特有の)複合音声チックがあります。

「バカ」「シネ」などの

社会的に受け入れられない言葉が「汚言」。

他人の言葉を繰り返す(反響言語:オウム返し)が

「エコラリア」ですね。

 

チック障害とトゥレット症候群に

必要なものは心理教育です。

症状は緊張や不安で増悪するので、

やめさせようと叱ると逆効果です。

気持ちが良い方向に高ぶっても、

リラックスしても出るのは少し難しいところですね。

ただし「周囲が構わない」、

それだけで軽減しうることは事実です。

「何かに集中できない」等の

生活の質に悪影響を及ぼす状態になったら、

薬の力も借りましょう。

ノルアドレナリン受容体拮抗薬や

抗精神病薬が用いられ、それなりに効きます。

だから神経伝達物質

(ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニン等)の

バランス異常で起きている障害・症状のようですね。