4 神経系と内分泌系:守るためには指揮命令(3)

体温の恒常性の土台にある「代謝」

ここをコントロールしているのは

のどの甲状腺から出るホルモンです。

甲状腺から出るホルモンは、

頭のど真ん中付近にある下垂体ホルモンのコントロールを受けます。

さらに下垂体は、

斜め上にある視床下部ホルモンのコントロールを受ける立場。

この複雑なコントロールの理由は、

視床下部が全身をコントロールする立場にあるからです。

視床下部が、それぞれ個々の器官に命令を出していたのでは、

余りの忙しさに十分な指揮命令ができません。

だから「代謝のことは下垂体に任せよう」と、

視床下部は下垂体にまとめて命令させています。

これが甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)です。

下垂体も、視床下部ほどではありませんが

複数のところに命令を出す立場にあります。

甲状腺に向かう命令が「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」。

これを受けて、甲状腺はホルモンを出します

これだけだと分かりにくいので、

具体的なコントロールで確認しましょう。

何かの原因で、代謝が下がったとします。

このままでは体温を維持することができません。

その情報を受け取った視床下部は、

「ちょっと甲状腺に頼んでおいてよ」と下垂体に指示します。

下垂体は「甲状腺、代謝上げといてだって!」と甲状腺に指示。

甲状腺からは代謝をコントロールするホルモン

(トリヨードチロニンやチロキシン)がでて、代謝が上がります。

 

…でも、これだけだといつまでも甲状腺ホルモンが出続けます。

代謝が上がり続けるということは、

必要もなくATPが作られ続けるということです。

グルコースの、無駄遣いですね。

しかも過剰なATPの行先は、

体温上がりすぎの多汗・頻脈・動悸…よろしくない状態ですね。

だから、甲状腺ホルモンが十分に出て代謝が上がったなら、

「もうストップしていいよ」と下垂体に指示する必要があります。

 

たくさん出た甲状腺ホルモン自身が、

「こんなに出たから、もういいでしょ?」と

視床下部や下垂体にストップをかけに行きます。

この「ストップをかける行動」は、

最初のきっかけと逆方向の働きですね。

だから「負のフィードバック」です。

ストップを受けた視床下部と下垂体は、

甲状腺に出していたホルモン分泌要請をストップします。

これで甲状腺ホルモン分泌は止まり、

代謝の恒常性は保たれるのです。

 

「そんな面倒なことしないで、

最初から一定の甲状腺ホルモンを作ればいいんじゃないの?」

 

それではうまくいきません。

夏と冬では必要なエネルギー(熱)量は異なります。

さらには同じ気候・季節でも

一日横になって過ごす基礎代謝と、

立ち・座り・運動する活動代謝は異なります。

活動(筋収縮)するときには、代謝を上げないといけません。

こう考えていくと、

「一定量の甲状腺ホルモン」では

「代謝」の機能が果たせなくなってしまうのです。

視床下部・下垂体・甲状腺が負のフィードバックを使って、

「代謝」の恒常性を守る理由、もう分かりましたよね。