10 各論5:体温(感染・免疫):②細菌に効く薬(3)
静菌系抗生物質のテトラサイクリン系として
ミノサイクリン塩酸塩(ミノマイシン)を紹介します。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067451
mRNA通りのアミノ酸を持ってきたか
チェックするところを邪魔しますね。
過敏症が禁忌。
慎重投与も肝臓・腎臓障害に高齢者、
食道狭窄で潰瘍危険と結構素直ですね。
腸内の有益細菌(善玉菌)に効いてしまって、
ビタミンK欠乏を起こし得ることも復習にいいくらいです。
でも、ミノサイクリン塩酸塩には
しっかり注目しないといけないところがあります。
「歯への着色」と「骨形成不全」です。
妊婦・産婦・授乳等への投与と小児への投与の欄です。
これらのせいで、薬を使える対象が限定されます。
しかも併用注意を見ると
ビタミンKと関係するワーファリンをはじめ、
腸内細菌菌叢変化のせいで
ジゴキシンの代謝や経口避妊薬の再吸収にも変化が!
適応菌種は広くて使いやすそうに見えるのに、
「使いにくさ」が目だってしまう薬です。
そこでもう1つの良く出会う抗生物質、
マクロライド系抗生物質のおはなしになるのです。
ここではエリスロマイシンステアリン酸塩(エリスロシン)と
クラリスロマイシン(クラリス)のご紹介。
スピラマイシンにも簡単に触れますね。
エリスロマイシンステアリン酸塩は
リボソームにくっついてタンパク質の合成を邪魔する薬。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00049486
効く細菌は多いし、禁忌も少ないですね。
禁忌は精神の薬ピモジドとエルゴタミン含有製剤、
抗ウイルス薬(抗HCV薬)のアスナプレビルです。
エルゴタミン含有製剤の一部は
片頭痛にも使われる薬なので注意ですよ。
でも併用注意が多いですね!
エリスロマイシンステアリン酸塩を代謝する肝臓の酵素が、
他の薬でも使われているタイプだからです。
多すぎて覚えられませんから、
エリスロマイシンステアリン酸塩を使うときに
他の薬を飲んでいたら添付文書を要確認です。
クラリスロマイシンも
リボソームにくっついてタンパク質合成を邪魔する薬。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00016704
さらに適用菌種が増えたの、分かりますか?
しかもピロリ菌にも効きますね。
ピロリ菌への使い方はちょっと特殊なので、
後でちゃんとおはなししますね。
効く菌は多いのですが…禁忌や併用注意は多いですよ。
次回はそこからおはなししましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230503更新)