7 ヒトを取り巻く環境(1):陽性植物と陰性植物
植物が生きるためには、光合成からできるグルコースが必要。
「光合成のためにはどれくらいまで光を有効活用できるか」で
「陽性植物」と「陰性植物」に分けることができます。
有効活用できる光量上限が「光飽和点」。
これが高い(多い)のが陽性植物で、
低い(少ない)のが陰性植物です。
具体的に数字で確認してみましょうか。
ヒマワリ(陽性植物)では、
100が最大光量としたとき90が光飽和点。
90以上の光を受け取っても、
光合成できるグルコース量は90のときと変わりません。
でも、0~90までは受け取った光の分だけ光合成ができます。
このグルコースをもとに植物は成長していきます。
もちろん、植物も呼吸をしますから
作ったグルコ―ス全てを成長に当てることはできません。
呼吸に必要なグルコースを作るために必要な光の量を
「光補償点」といいます。
光補償点より少ない光のときには、
呼吸として使うグルコースが光合成で出来るグルコースより多くなります。
二酸化炭素の動きに注目すると、
「植物から出る二酸化炭素>植物に吸収される(光合成に使う)二酸化炭素」
になりますね。
逆に光補償点より光が多いときには、
「植物に吸収される二酸化炭素>植物から出る二酸化炭素」ですよ。
この二酸化炭素の出入りに注目したものが
「見かけの光合成速度」です。
私たちが実験で知ることのできる光合成の速度は、
実際の光合成速度ではなく、
この「見かけの光合成速度」ですからね。
ヒマワリの例で50が光補償点だとしてみましょう。
0~50までの光しか来ないと、ヒマワリは成長できません。
それどころか呼吸に必要なグルコースを作れずに枯れてしまいます。
50~90までは、光が強くなるほどぐんぐん成長できます。
90~100の光が届いても、
「90の光を受けたとき」と同じくらいの成長です。
では、陰性植物ではどうでしょうか。
シダを例に見てみると…シダの光飽和点は35。
「35以上は光合成のグルコース産生に役立たず…」と書くと、
一体どこで成長するのか疑問に感じてしまいますが。
シダは光補償点が15と低いため、
15~35の光さえあれば十分成長できることになります。
さすがに0~15の光ではグルコース不足で枯れてしまいますよ。
このように、陽性植物と陰性植物では得意な環境
(生きていける光量)が違っていますね。
それは植物のすみわけにつながり、
無駄な生存競争を防いでいるともいえますね。