12 各論7:呼吸(中枢・精神):③麻酔薬(1)

がん疼痛治療の1段目にして、

「麻酔薬」のグループに入るものが局所麻酔薬。

麻酔のおはなしは、

局所的に効くもの(術前薬や筋弛緩薬を含む)から、

全身に効くものへとすすめましょう。

 

局所的に効く麻酔の代表が局所麻酔。

リドカインやテトラカインが良く使われます。

どちらも感覚神経のナトリウムチャネルをブロックして、

刺激が中枢に伝わらないようにしています(求心性伝導の抑制)。

ナトリウムチャネルをブロックされると細胞は電気を作れない。

電気ができないと刺激(情報)を伝えることができない…ですね。

 

リドカインについて見てみましょうか。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00047522

禁忌は本剤とアミド型局所麻酔薬にアレルギーのある人。

これはどの麻酔の方法でも共通です。

あとは局所麻酔薬を硬膜外に入れて使うときに、禁忌が追加されます。

大量出血やショック状態状態の人では過度の血圧低下が起こる可能性があるから。

敗血症や注射部位(やその周辺)に炎症のある人では、

髄膜炎を起こす可能性があるから禁忌…ですね。

併用注意には抗不整脈薬のアミオダロン等が含まれていますね。

これは心機能抑制作用が増強されてしまう可能性があるからです。

 

…もう気付いている人はいると思いますが。

「リドカイン」は抗不整脈薬としても使う薬です。

ただし「抗不整脈用のリドカイン」と「局所麻酔用のリドカイン」には、

含まれるものが違います。

逆に使ってしまうと「効きすぎ!」や「思ったように効かない…」のもとです。

ちゃんとラベルを見て、指示された用途の物を使ってくださいね。

 

なお禁忌や併用注意には含まれていませんが、

妊娠・妊娠可能性のある人、小児での安全性は未確立ですよ。

 

リドカインの慎重投与対象は、硬膜外麻酔に使うか否かで変わってきます。

硬膜外麻酔以外(表面・浸潤・伝達麻酔)では、

重い肝臓・腎臓障害、高齢者、全身不良状態、

心伝達異常のある人には慎重に投与することになります。

慎重投与対象のイメージは難しくありませんね。

 

「硬膜外麻酔以外」を理解するには、歯の治療時の麻酔を思い出してみましょう。

運よく今まで歯の治療時に麻酔を使ったことがない人は、

「こんな風に麻酔をかけるんだ…」と思ってくださいね。

 

例えば、親知らずを抜歯することになったとしましょう。

まず、抜歯する部分の歯茎にゼリー状の麻酔を塗ります。

これはこれから注射する部分を麻酔する「表面麻酔」。

表面麻酔が効いてきたら、あごの骨の中にある神経全体を麻酔する注射をします。

骨の中にある神経全体(上あごなら上顎神経、下あごなら下顎神経)に

染み込ませるので「浸潤麻酔」です。

でも麻酔が染み込みにくい(骨が分厚い)下あご(しかも奥歯:臼歯)では、

さらに太い神経近くに注射をして刺激伝達を邪魔します。

 

これが「伝達麻酔」です。

奥歯のさらに奥の歯茎に注射をしたら、伝達麻酔だと思ってください。

 

次回、硬膜外麻酔のおはなしに入りましょう。