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7 ヒトを取り巻く環境(1):植生というもの

前回は光合成に必要な「光の強さ」で、

植物を「陽性植物」と「陰性植物」に分けました。

植物が生きるためには、水と温度も必要です。

 

水(降水量)と温度(気温)に注目して、

植物の集まりを分けたものが「植生」。

森林、草原、荒原の3つに分けられますよ。

 

水が少ないと、そもそも生きられる植物は少なくなります。

生きていけるとしても、あまり成長することができません。

これが荒原。

メインはコケ類になりますね。

 

荒原より少し水が増えれば、

温かいところなら少しは植物が成長できます。

これが草原。

メインは草(草本植物)ですね。

冷たいところでは、荒原のままですよ。

 

もっと水があれば、

草よりも大きな木(木本植物)も生きていくことができます。

これが森林。

日本でおなじみ、木がたくさんある植生です。

 

植物は草か木か(草本植物か、木本植物か)だけではなく、

環境に合った形に分化しています。

それが「生活形」ですね。

例えば草なら「1年で枯れる(1年生植物)」か、

「地下の根で生き残る、または何年も成長する(多年生植物)」で

分けられますね。

木なら「葉の形(広葉樹か針葉樹か)」や

「落葉の有無(落葉樹か常緑樹か)」でも分けることができます。

 

特に日本では上記の「木の4種(広葉、針葉、落葉、常緑)」を確認できます。

これ、世界レベルで見ても結構珍しいんですよ。

その理由は「バイオーム」の最後に出てきますからね。

 

ここではもう少し植生としての「森林」を確認しておきましょう。

森林は、上の方と森林周辺にあたるところには日が当たります。

ここは陽性植物が得意なエリアですね。

 

森林周辺には(5mに届かないくらいの)背の低い木(低木)があり、

少し内側に入ると5m前後の高さの亜高木層になります。

中央部は10mを超える高さの高木層になっていて、

葉を生い茂らせています。

これが「林冠」。

葉っぱが冠のようになっている…ですね。

 

このように陽性植物が元気に葉を広げるため、

森の中(内側:「林床」)にはあまり光が入ってきません。

ここは陰性植物が得意なエリアになりますね。

 

あと、森林の下の部分…土壌についても目を向けましょう。

土壌の役割は、植物の体を支えるだけではありません。

土壌は水分を蓄え、必要なミネラルを提供する場でもあります。

 

土壌は下(地球の中の方)から

「岩石層」「石や砂の層」「腐植層」「落葉層」に分けることができます。

岩石層は名前の通り岩石からできていて、あるのはわずかな隙間のみ。

これだけでは体を支えるのは難しそうです。

岩石が風化して細かくなった石や砂なら、

植物の根が入り込んでいくことができますね。

でも、石や砂だけでは水はけがよすぎて、

「水分を蓄える」には向いていません。

 

そこで腐植層の出番になります。

一番上にある落葉層は「落ち葉」そのもの。

真上にある森林の葉が落ちてきたものですが…

落ち葉そのままでは水分を蓄えることはできません。

そこで「微生物による分解」が大きな意味を持ってきます。

微生物が落ち葉等を分解すると、

水もミネラルも、空気も含むふかふかの腐葉土ができます。

これこそ腐植層の正体です。

 

そして微生物が活発に働くためには、

分解対象になる落ち葉と、一定以上の温度(と水分)が必要。

先程確認した植生の3区分、

荒原と草原・森林の境界は「まず水分、次に温度」でした。

これは落ち葉を分解する微生物が活動できるかの区分でもあるのです。

そして落ち葉ができるためには、

ある程度の木の成長が必要。

 

「土壌と植生は、お互いに関連し合っている」

…ということが分かってきましたよ。