2 ヒトの免疫の理解・確認(2)
でも、同じ異物がのこのこと
また侵入してきたら反応が変わります。
2回目以降の異物の侵入に対する体の反応、
二次応答のスタートです。
以前侵入してきたときに、何が効くかは分かっています。
だから効くものだけを反応部位に付けた、
Ig-G(1量体)をたくさん作れます。
Ig-Gは体内最多の抗体なので、数で押し負けることはありません。
あとは抗体と結合した異物(抗原)を
好中球やマクロファージに食べて処理してもらうのみ。
迅速に、異物侵入に効率よく対応できるのが二次応答ですね。
このように一次応答と二次応答は体の反応が大きく変わります。
「二次応答状態なら
異物が入り込んでも病気にならないかもしれない!
もし病気になっても軽くて済むかも!」
…みんな、二次応答状態にしておきたいと思いますよね。
そこで役立つのがワクチンと母子免疫です。
先に母子免疫から確認していきましょう。
お母さんから子どもに伝わる免疫が「母子免疫」。
2つのルートがありますよ。
1つ目は、胎盤経由で抗体が赤ちゃんに向かいます。
胎盤を抜ける必要があるので、
大きい(抗原反応部位が多い)抗体は通れません。
胎盤経由で赤ちゃんに届くことができるのは、1量体のIg-Gのみ。
同じ1量体にIg-EとIg-Dもありますが、
Ig-Eはアレルギー(過敏症)で活躍する抗体。
Ig-Dは白血球の分化で出てくる抗体。
どちらも、胎盤にはやってきそうにありませんね。
「白血球の分化」と見たら、
全ての血球のふるさと
「骨髄」をイメージできるようになりましょうね。
白血球の成熟場所が「骨髄のB細胞と胸腺のT細胞」ということも
一緒に復習しておくといいですね。
2つ目が母乳経由です。
母乳に出てくる抗体は「分泌型」のIg-A。
消化管内に出てくる(分泌される)のもIg-Aですね。
こちらは抗原反応部位が2つなので「2量体」ですよ。
なお、最初に一次応答で出てきたIg-Mは「5量体」です。
「母子免疫で伝わる抗体の種類」は
意外と看護師国家試験に出てきます。
どの抗体が、どこ経由で伝わるのか。
ちゃんと理解しておいてくださいね。
この母子免疫で赤ちゃんに伝わる抗体は、
しばらくの間(約6か月)
赤ちゃんを二次応答状態にしてくれます。
抗体が切れたころから…
赤ちゃんはすぐに体調を崩しがちになります。
それはお母さんからもらった抗体が役目を終了してきたから。
あとは頑張って自分で免疫を獲得していく
「一次応答」からスタートです。