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7 各論2:脈・血圧(血管):高血圧・低血圧(1)降圧薬(1)

2022年12月26日

前回までのおはなしから分かるように、

血圧は心臓と血液の両側面から見ることができます。

その2つをつなぐのが、血管ですね。

 

血管は単なる「管(くだ)」ではなく、

平滑筋によって内側の直径を変えることができ、

外膜と内膜(1番内側は内皮細胞)があることは

勉強してきた通り。

そして「血圧の薬」と言ったとき、

圧倒的に多いのは降圧薬(高い血圧を下げる薬)です。

…低血圧は、軽視していい状態なんかじゃありませんよ。

それでも降圧剤が多いということは、

「高血圧になる状態がとても多い現状」がそこにあります。

 

お薬のおはなしに入る前に、

なぜ高血圧状態を解消する必要があるのかの説明。

 

高血圧の問題点は、

「単に血圧が高い」ことではありません。

問題なのは、

「血管にかかる力が強い状態が続いている」ことです。

血管はゴムホースのようなもの。

古くなってくると、硬くなり、裂けてしまう恐れがあります。

庭や花壇、洗車用のホースなら、交換すれば済むおはなしです。

 

でも、体の中にある血管ではそうはいきません。

動脈瘤(瘤:こぶ)が破裂すると、生命の危機です。

圧力がかかりすぎて硬くなってしまっては、

急な水圧上昇があったときにいつ裂けるか分かりません。

心筋梗塞の血栓溶解薬禁忌に

動脈瘤等の血管奇形があったことを思い出してくださいね。

だから、血管に強い力をかけ続けてはいけません。

 

今のおはなしは

「血管」があるところならどこでも当てはまります。

消化管出血を起こした結果、

酸素が全身細胞まで届かない

貧血やショックを起こすかもしれません。

腎臓では糸球体の「ざるの目」にあたる部分が壊れて、

捨ててはいけない成分までも

尿になって体の外に出ていってしまうかもしれません。

…だから、高血圧を解消する必要があるのです。

 

解消する必要性が分かったところで、

高血圧の薬のおはなしスタート。

 

高血圧の原因にはいろいろなものがあります。

血管の内側の直径が狭かったら、

圧力が上がってしまいます。

めぐる血液の量(体内循環量)が多くても、

圧力は上がってしまいますね。

 

血管の内径を決める交感神経系の働きやホルモン分泌異常は、

もちろん高血圧につながります。

でも自律神経系やホルモンのおはなしは後回しにしましょう。

そして血管平滑筋に効くお薬については、

狭心症のところでおはなししてありますね。

だから次回からは「体内水分量」と

「血管内径の内側にたまるもののイントロダクション」のおはなしです。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20221226更新)