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5 熱い!冷たい!(やけどと凍傷)(5):しもやけ

前回は怖い凍傷のおはなしでした。

少しだけ身近な(マイルドな?)、

しもやけについておはなししますね。

 

しもやけも寒さで起こるもの。

痛く、腫れて、赤くなりますね。

この表現…「炎症」ですね。

寒さで血行が悪くなり、

血行が悪くなることで炎症が生じます。

これが「しもやけ」の正体です。

 

しもやけのまま皮膚が乾燥すると、

表皮の一番外側にある角質層に大きな裂け目ができます。

これが「ひび」。

中の赤が見えたり(真皮の色)、

出血したり(真皮には血管が多い)することも。

もっと盛大に裂けると…「あかぎれ」ですね。

 

原因は寒さによる血行不良ですから、

これまた温めましょう。

温まるとかゆみや痛みが強くなりますが、

これは知覚神経への血行が復活してきたことと、

温度上昇により炎症促進物質が盛んに出ていることの

両方の側面があります。

ひびやあかぎれを起こしてしまったら、

裂け目に「表皮の代わり」が欲しいところです。

ワセリン等の保湿軟膏を塗っておくと、

それ以上の乾燥を防げますよ。

 

…でも、可能ならばならない方がいいですよね。

そこで予防をしっかりしましょう。

特に小児はしもやけができやすい傾向があります。

体が濡れたら、しっかりふき取って乾燥させること。

これで水分蒸発による温度低下(血行不良のもと)を防げます。

入浴後だけではありません。

運動や食事後等、いろいろなときに汗はかくものです。

手足の指の間も、忘れてはいけませんよ。

自分は大人だから大丈夫…なんて言ってはいけません。

女性は先のとがった靴が要注意!

ハイヒールもずり下がったつま先に圧力がかかるので、

血行不良の危険がありますよ。

 

血行不良解消には指先・耳たぶなどしもやけになりやすい部分を

マッサージ等で血行を良くしておくこと。

しもやけが出てからは、強くマッサージしてはいけません。

炎症で弱くなっているところに強い力がかかったら、

毛細血管壁が壊れてもっとひどくなってしまいますよ!

 

しもやけ用軟膏・クリーム等には

ビタミンEが含まれていることがあります。

これはビタミンEが血管内皮細胞に働いて、

炎症物質を作るアラキドン酸カスケードを邪魔する酵素を作らせるから。

結果、炎症は起こりにくくなりますね。

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これがビタミンEの「抗炎症作用」です。

ビタミンEといえば「細胞膜安定化(抗酸化作用)」ですが、

しもやけ・ひび・あかぎれのときには

それ以外の作用も思い出してあげてくださいね。