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10 各論5:体温(感染・免疫):②細菌に効く薬(8)

2023年5月3日

ヒト用に広く使われる消毒用アルコール。

いわゆる「エタノール消毒」ですね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048132

芽胞には効かず、真菌への効きはいまいち。

ノロウイルスのような

「エンベロープなしウイルス」にも効きがいまいちです。

エンベロープというのは、

一部のウイルスに見られる膜状構造のこと。

インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス、

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)がエンベロープ持ちの代表です。

 

しかも「アルコール濃度が濃ければ良い」とは

言えないのが難しいところ。

一度完成したら放置してもいいかというと、

これまた濃度が薄くなってしまうのでダメなのです。

こまめに作り直す必要があるので、

「希釈」の計算が国家試験に出てくることになりますよ。

 

低水準消毒薬は、

普段使いをして一般的な細菌を殺すものです。

ちょっと特殊菌(含む芽胞)や、

真菌、ウイルスには効きませんよ。

クロルヘキシジングルコン酸塩(クロルヘキシジン)や

ベンザルコニウム塩化物(逆性セッケン)。

アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩

(サテニジン)に代表される両面界面活性剤がここですね。

 

クロルヘキシジングルコン酸塩は、

細胞膜はじめ核酸にも効く消毒薬です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00011536

手術部位の消毒に使うこともありますが、

禁忌には注意してくださいね。

粘膜面と中枢神経(加えて内耳神経)に禁忌です。

膣や口腔粘膜等では

アナフィラキシーショックの可能性があります。

脳や脊髄、外耳をはじめとする耳にも使えませんよ。

神経障害や難聴の危険があるからです。

 

ベンザルコニウム塩化物は「逆性セッケン」よりも

「ウェルパス」の名前で出会うことが多いかも。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057745

ウェルパスは損傷皮膚はじめ粘膜への使用が禁忌です。

ベンザルコニウム塩化物そのものというより、

一緒に含まれるエタノールの刺激が原因です。

手に付けて「しみる!」ときには、

ウェルパス消毒はあきらめましょう。

 

両性界面活性剤は、

病室や器具といった人以外にも使う消毒薬です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00060171

結核菌にも効いてくれるので、

ちょっとだけ便利ですね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230503更新)