2 ケース2:手術は成功したけれど(4)
事件については一段落。
さて、あなたはセーフですか?
「つい、うっかり」は日常につきものですが、
刑事アウトだけは避けなくちゃいけませんね!
看護師は忙しいもの。
病院に勤務していて、特定の技術を持っていればなおさらです。
今回の事件の原因は「あまりの忙しさに、ついうっかり…」が本質のはず。
でも「つい、うっかり」のままでは、効果的な解消方法が見つかりませんね。
だから、2つの方向から考えてみましょう。
「1 忙しさ解消」「2 ついうっかりを防ぐ」です。
「1 忙しさ解消」対策としては
「(1)同じ技術を持つ人を育成して、Aのシフトを楽にする」
「(2)手術の1日当たりの件数を減らす」
「(3)ME(メディカルエンジニア)が電気メスの事前準備をする」
…他にもあるかもしれませんね。
でも、残念ながらこれらの対策は、他の人の手を必要とするものが多そうです。
そうなると病院の人事や経営に関係し「お金の問題」を無視できません。
「2 ついうっかりを防ぐ」対策としては
「(1)コードとジャックの接続口が別の形ならよかった」
「(2)ヒューズがあるものならよかった」
「(3)そもそも配線不要の電気メスがあればよかった」
「(4)Aの配線をチェックする人がいればよかった」
…他にもあるかもしれません。
人は誤りを犯すことを前提にして、
「うっかり」をなくすための解決策を考えてみましたが…。
こちらは医療機器メーカー頼みが多くなってしまいました。
(1)~(3)は、メーカーが危機感を持ってくれれば、
そのうち安全な改良型が出るかもしれません。
もっとも、そこまでの仮対応として
「(①)コードとジャックの接続口の色分けをする」
これぐらいならすぐできるかもしれません。
すでに色分けがされているなら、もっと派手に、目立つように色分けです。
ちなみに医療機器メーカーの改善具体例として、
輸液セットの感染予防・誤接続防止のために接続部が改良されたことがあります。
以前、とあるミスによって事故が多発しました。
静脈に入っているラインから、
本来直接腸に入れるための経管栄養剤を入れてしまうミスです。
医療機器メーカーの人は、ある日ひらめきました。
「両者の接続部の大きさが違うなら、間違ってつなぐことはないはずだ!」
メーカーは設計からやり直し、
現在では血管用ラインと栄養用ラインは物理的につながりません。
これなら、事故を予防できますね。
(4)は薬のダブルチェック、トリプルチェックとして
現在多くの病院で行われていますね。
確かに新たな出費なく、病院内で解決できる有効な方法なのですが…。
これ、根本的な忙しさ解消になっていませんね。
むしろ今いる医療職に
現在の賃金・勤務体制のまま電気メスの知識をつけようとしたら、
全員が忙しい過労状態になって、他のところで同様の事故が起こる危険があります。
「じゃあ、どうすりゃいいのさ?!」
その疑問を覚えておいて、次回は解決に迫りますよ。