2 ケース2:手術は成功したけれど(5)
それじゃあ、現実的にはどうしよう…が今回のおはなしです。
どうやら、他の人を巻き込まないと根本的な解決は図れそうにありません。
でも、実はこれが大事な気付き。
1つの医療事故があったなら、医療全体を巻き込んで変えてしまえばいいのです。
もっとも、外の人を巻き込めたところで「必ず」変えられるわけでも、
「すぐに」変えられるわけでもありません。
だから応急処置的でもいいので、自衛策が必要です。
こんな事故を起こして責任を負わないための、自分を守る手段ですね。
最悪な、絶対に避けたい状況は
「自分のしたことで事故が起きた」かつ「自分に責任があった」。
ここから身を守るためには、どうしますか?
責任をなくすことは1つの方法ですが、
他の人の作業量が増えるし、最終的に責任を負う人は使えない方法ですね。
一応、同じレベルにある人が2人で仕事をし、相互チェックをすれば
責任はなくならないものの半分になります。
もちろんこのときは
「人間はミスをするものだ!現場をこの目で見てやるぞ!」
…ぐらいの気合でいて初めて相互チェックの意味があります。
もう1つの方法が、自分が事故を起こさないこと。
概念としては簡単ですが、実際に実践しようとすると難しいことですよね。
その第一歩は「自分のすることに責任をもち、自信を持つこと」です。
…そんなこと言われても、いきなり自信なんて持てないよ!
だったら、その不安・不慣れな旨を正確にグループ内に報告し、相談です。
きっと技術ある人が解決に協力してくれるはずです。
例えば「1回目は後ろで手技を見ていてね。2回目はあなたがやってみて。
それで問題なければ、1人でもやれるわよ」などです。
もしちゃんと報告・相談を受け止めてくれなかったり、
手技の確認もせずに「大丈夫、大丈夫!」と適当に言われたら…
それはチーム医療として、上司(管理者)の管理責任問題です。
ちゃんと状態を上司に連絡し、できる限りの技術向上努力をしていたなら、
あなたの責任はゼロにならなくとも軽微なものになるはずです。
では、もう一歩前へ。
もっと望ましい状況は「あなたの所属するチームが、事故をおこさないこと」です。
この状況を作り出すためには「自分がミスしない」に加えて、
「他の人にミスが出ないように見ている」ことも必要になります。
つきっきりではあなたな作業量が大変なことになるので、
自分の作業のついでにチラ見で確認するのです。
できること、できるところからでいいのです。
「電気ケーブルと接続口の色は大丈夫かな?…オーケー!」
「処方箋にある患者さんや薬品の名前と、アンプルの残り、
トレイに書いてある名前大丈夫かな?…オッケー!」
ここからでも、十分チーム医療の事故防止に役立てます。
グループ内で同じミスを繰り返さないためのインシデントレポートも有効。
他山の石、というものですね。
あなたの知識と技術は、あなた自身を守ります。
さらにはチーム全員も守ることができます。
自衛はあなたの心がけ次第ですからね!