3 ケース3:深夜の悲劇(5)
もしかしたら、あなたが病院や施設の経営者になるかもしれません。
そんなとき「アウト!」と言われないために、どうしましょうか。
法令に定めるスプリンクラー、非常警報器、防火シャッターなどの設備を充実させる。
それらが正常に動作するか適切な点検をする。
雇った医療従事者に非常時対策の啓蒙をして、
必要に応じて警備システムを活用…などなど。
必要性、皆さんなら分かってくれるはずです。
それなのに「していない」「できていない」病院・施設は多いのです。
多分、原因は2つ。
「1、経営者の危機想定不足」「2、予算」です。
「1、経営者の危機想定不足」の対策としては、このようなことが考えられます。
「(1)このホームページを見る」、「(2)火災の発生件数、原因、被害額を知る」、
「(3)『うちは大丈夫』の根拠を合理的に説明してもらう」
一番手っ取り早いのは(1)ですね。
ぜひ経営者の皆さんにおすすめしてください。
知らないから対処しない人はいるはずです。
だから(2)も大事。
些細なことで、火災は頻繁に起こっています。
被害額がばかにならないのも火事の特徴です。
単なる人的・物的損害だけではすみませんよ。
その後の修理代、営業できない期間に得られたはずの収入、
さらには信用の喪失、イメージ低下も考えると…火災対策をした方が絶対得です。
詳しい情報は、各自で検索してみてくださいね。
一般的な火災情報は消防庁の消防白書、
病院火災に限定するなら「火災調査探偵団」の「建物用途別火災」から、
病院・診療所火災の部分を見てくださいね。
最後が(3)ですね。
なぜか「うちは大丈夫だから」を連呼する人がいます。
その根拠に合理性があるものか、一度確認してみてください。
…このように質問すると「俺の言うことが信用できないのか!」と怒り出す人がいます。
逆です。
信用したいから、信用に足る根拠が欲しいのです。
実は点検や修理が必要かもしれません。
以前とは人的・物的状況が変わっているかもしれません。
経営者のみなさん、その自信を空虚なものにしないためにも
冷静に状況確認しませんか?
「そんなこといっても先立つものが!」…「2、予算」ですね。
最低限出来ることを提案します。
「1年で一気に完成させる必要はないので、計画を立てて実行する」ことです。
予算を工面することほど大変なことはありません。
だから、優先事項から、できる範囲で取り組んでいきましょう。
ちゃんと客観的優先度に基づいた修繕計画を立て、
それに従った修繕をしていれば、
例え修繕途中で不幸な災害が起こっても、それほど悪い結果にはならないはずです。
このとき「修繕計画の客観性」も要求されます。
独りよがりな計画ではいけません。
ちゃんと防災知識のある人と協議・検討した上での計画策定が必要です。
今まで読んで、考えてくれれば分かるように、防災対策は大掛かりです。
だからこそ、日々の備えが必要ですね。
少なくとも個人レベル、できれば全体で。
あなたも、周りの人たちも無事でいるために、
常に怠ることなく意識しておいてくださいね。