14 各論8:ウイルス(2)RNAウイルス(13)
M ナイロウイルス科
ナイロウイルス科は、
以前はブニヤウイルス科と分類されていたウイルスの一部。
クリミア-コンゴ出血熱ウイルスがナイロウイルス科の代表で、
クリミア-コンゴ出血熱も
先程(エボラ出血熱、マールブルグ熱)に続いて1類感染症です。
先程のエボラウイルスやマールブルグウイルスが
アフリカに集中しているのに対し、
クリミア-コンゴ出血熱は
「アメリカ大陸と日本以外にはいる!」つもりでいてください。
家畜等からダニによる感染が主な感染ルートですが、
感染した動物・ヒトの体液からの感染も見られます。
発症は感染者の20%ほど。
しかも発熱、頭痛、筋肉痛で済む軽症例が多い傾向にあります。
とはいえ重症化してしまうと肝不全・腎不全や出血傾向を起こし、
約半数が命を奪われてしまうことになりますよ。
N アレナウイルス科
ここに含まれるのはラッサ熱の原因「ラッサウイルス」と、
南米出血熱を起こす複数のウイルスたち。
ラッサ熱も南米出血熱も感染症法1類感染症です。
南米出血熱はネズミの糞尿を介してヒトに感染します。
名前の通り中南米にウイルスが分布していて、
原因ウイルスが複数であることから
個々のウイルス名について問われることはないはず。
ラッサ熱はマストミス(アフリカのネズミの一種)の糞尿からヒトに感染し、
その後はヒトからヒトへと感染します。
アフリカ(特に西部)にいるウイルスです。
感染して、発症するのは約20%。
高熱、頭痛、筋肉痛から始まり、
重症化すると出血傾向、血圧低下、ショックを起こします。
致命率(命を奪われてしまう確率)はごく低いとされていましたが、
2015年のナイジェリア流行では
半数を超える患者の命を奪いました(致命率50%超)。
RNAウイルスがいつ、どんな変異を起こすか分からない
教訓的な一例ですね。