3 総論:侵入経路(5)血液感染・垂直感染
「いきなり血液に入り込んでしまった!」という感染もありますね。
微生物のいる血液が、
他の人の血液に入り込む「血液感染」です。
代表的なものが薬物常用者による注射器の回し打ちです。
そして医療者にとって怖い「針刺し事故」もここにあたります。
針刺し事故の予防については、
少し先の「スタンダード・プリコーション」のところでおはなししますね。
「血液から」ではありませんが、
薬に微生物が入っていると
これまた血液に直接微生物が入り込んでしまいます。
薬剤による感染ですね。
薬そのものに微生物が入り込んでしまった
「薬害エイズ(血液製剤にHIV混入)」が代表です。
あとは、薬の調剤中や輸液準備中の微生物混入もここに入ります。
薬に微生物を混ぜてしまわぬよう、
細心の注意を払う必要がありますね。
「ヒトからヒト」への感染を確認してきました。
今までは「同じ世代のヒトに移る」ことをイメージしてほしい
「水平感染」です。
最後におはなしするのは「垂直感染」。
母から子(胎児:下の世代に移る)感染です。
母体に微生物が入り込んでいるとき、
子にも移ってしまう微生物がいます。
接触感染として出産時の「経産道感染」。
性感染症の1つ単純ヘルペスウイルスは経産道感染です。
血液感染として胎盤から胎児に移るのが「経胎盤感染」。
性感染症ではないのにTORCHに含まれる風疹ウイルスは胎盤感染ですよ。
また、血液をもとに作られる母乳で移るものもあります。
知らず知らずに感染していることが多いサイトメガロウイルスは、
母乳に多く含まれますよ。