11 精神のおはなし(3)3大欲求障害、時期・段階に特徴的な障害(1)

1 3大欲求と精神障害

精神に対する影響は、

身体に対しても変化を及ぼすことを

解離性障害の転換症状で確認しました。

身体に出た悪影響を、

いくつか確認してみましょう。

全部確認してはいられませんので、

ヒトの3大欲求への悪影響に限定します。

睡眠障害、食欲障害、性障害についてのおはなしです。

 

(1)睡眠障害

睡眠障害には、「眠れない(不眠症)」

「いつでも寝てしまう(過眠症)」「リズムが変」と、

夜驚症や夢遊病に代表される「睡眠時随伴症」があります。

 

A 不眠症

不眠症は、入眠や眠り続けることができない状態が持続し、

社会的・職業的・肉体的不調が出現する病気です。

成人の約2割に見られ、女性に多く発症しますね。

精神に原因を見つけることができるのが原発性。

不眠に恐怖を感じてしまい、そのせいで過度の緊張が生じ、

交感神経系優位になって、眠れない。

さらにそれが怖くなって…という悪循環ですね。

 

それ以外の原因がある「二次性」には、

たくさんありますよ。

薬剤性と身体疾患によるものに分けてみましょう。

 

薬剤性で忘れてはいけないのが、抗パーキンソン病薬。

他にも降圧剤、気管支拡張剤、ステロイド剤、

インターフェロンなどがありますよ。

身体疾患だと「疼痛」は全て不眠原因ですね。

他にもイメージしやすいのは息苦しくなる呼吸器系疾患や、

循環器系疾患でしょうか。

内分泌系だと更年期でも不眠は出ますし、

消化器系でも逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍、

腎不全による透析等で

無呼吸やレストレスレッグ症候群を起こすこともありますね。

レストレスレッグ症候群は、下肢がムズついて眠れないもの。

抗けいれん薬やドーパミン作動薬等の薬物由来でも生じますが、

腎臓由来(透析由来)でも起こることは覚えておきましょう。

あと、脳そのものに変なところがあれば、

不眠が生じやすくなります。

頭部外傷や脳腫瘍、脳血管障害やせん妄でも不眠が出てきます。

 

このように、一言で「不眠」といっても原因は様々。

そして不眠の内容も1つではありません。

本人が苦痛と感じる、30分以上眠れない「入眠障害」。

二度寝できない「中途覚醒」。

起きる時間より2時間以上早く起きてしまう「早期覚醒」。

時間だけ見れば問題はないのに、

ぐっすり眠った感じのしない「熟眠障害」などがあります。

あとはこれらに付随して日中の眠気や集中力の低下が起こります。

 

不眠の原因が二次的なものならば、

それを解消すれば不眠は改善されます。

薬は中止が原則。

脳そのものに「変!」があるなら、

非定型抗精神病薬を用いることもあります。

原発性なら、認知療法等の非薬物療法が主に用いられます。

例えば、寝るとき以外(単なる休憩や読書等)には

ベッドを使わない「刺激制御法」、

日中眠気で困らないなら就寝時刻にこだわる必要はない等の

「教育指導」がここに含まれますね。

食事をして、運動をする、規則正しい生活が大事です。

できるだけ同じ時間に起きて朝日を浴びると、

睡眠コントロールホルモンの

メラトニンスイッチもうまく入るようになってきますよ。