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2 薬に共通するおはなし(1):吸収(A)の応用(4)

2022年11月8日

「飲み薬」と言っても、結構いろいろな種類があります。

おなじみの錠剤やカプセルの他に、

咳止めシロップのような液状、

そのままだと飲みにくい粉状や粒状もありますね。

 

同じく小腸から吸収されるとはいえ、

形によって吸収される速さが違いますよ。

シロップのような水状(液状)が一番早く、

次が粉状や粒状。

カプセルと錠剤はその後…というのが

一通りの目安です。

 

粉状や粒状

(散らばりやすい「散薬」とも呼ばれます)だと、

そのままでは飲みにくいので

オブラートに包むこともありますね。

オブラートは、水分で溶ける

デンプンで出来た半透明の薄いフィルム。

寒天ゼリーなどのお菓子をくるんでいる、

「味のしないうすいもの」がオブラートです。

デンプンは、多糖類で植物の糖貯蔵形態でしたね。

近年では子供が飲みやすいように、

いちごやぶどうの味のするオブラートもありますよ。

 

でも、毎回オブラートに包むのは大変…ということで

多く使われるのがカプセルや錠剤。

カプセルの主材料はゼラチン。

ゼリーのもとですね。

結合組織コラーゲンを加熱処理したもの…と言うと、

タンパク質の変性のおはなしにもつながります。

一緒に加えるグリセリンやソルビトールの量を調節することで、

硬いカプセル剤も軟らかいカプセル剤もできます。

グリセリンは脂質(中性脂肪)のベルトハンガーで、

ソルビトールは糖尿病のときに作られすぎてしまい

神経障害を引き起こすもとになっていたものです。

…生化学のおはなしが、一層身近なものになりますね。

 

これらのカプセルに入れると、

多少味や匂いが悪くても、

気にせずに薬を飲めるようになります。

しかも材料はおなじみのものばかりですから、

すぐに消化管の中で溶け始めます。

 

すぐに溶けだすので…

もたもたしていると食道でくっついてしまいます。

そこで薬が溶けだしてしまうと、

薬成分がとても濃い場所ができてしまうことになります。

これ、粘膜に穴が開いて

凹んでしまう潰瘍の原因の1つです。

だから、カプセル剤は

水と一緒に飲み込んでしまってください。

 

硬いカプセル剤の中には

散薬(粉や粒)が入っていることが多いですね。

軟らかいカプセル剤の中には

液体を入れることもできますよ。

 

カプセル剤のおはなしは一段落。

次回は錠剤のおはなしですよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20221108更新)