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12 末梢神経のおはなし(2)聴覚・触覚と皮膚(前半)(7)

遺伝的要素が強い、乾燥性の「変!」もあります。

代表的なのが魚鱗癬。

全身びまん性、左右対称に出る疾患で、

「サメ肌」とも呼ばれます。

常染色体優性のものも、伴性劣性のものもあり、

アトピー性皮膚炎や角膜混濁等を

合併することもありますね。

主に抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の内服で、

外用サリチルワセリン等によってしっかりと保湿します。

重症のときには、活性型ビタミンAの内服になることも。

ビタミンAは視覚と上皮細胞保護が役目でした。

重症のときには

「ちゃんと上皮を守って!頼んだよ!」ということですね。

おかしくなった結果、

表皮細胞が硬くなってしまうこともあります。

それが「たこ」や「うおのめ」に代表される

角化症です。

角化症は、表皮細胞の角化(分化)異常によって

角質が分厚くなり(角質肥厚)、

かさかさ(乾燥)、ザラザラ(粗造)になる疾患。

圧迫や摩擦等の機械的刺激反復により、

角質が一様に厚く、

扁平に増殖したものが「たこ(胼胝腫)」。

たこの状態に加えて、

厚くなった角質の中心が芯のようになって

内側に深く侵入したため、

圧迫すると侵入部が刺さっていたいのが

「うおのめ(鶏眼)」です。

うおのめは頻繁に痛むため、

中心の開いたパッドを張り付けて圧迫を減らすこと。

そしてサリチルワセリン等の保湿剤で、

肥厚部をできるだけ薄くするように

ふやかしていくことになります。

 

(4)ニキビ、脂漏性皮膚炎

このように皮膚の表面が「変!」になり、

乾燥してしまうと困った状態です。

それなら、油たっぷりにさえすればいいのか。

そうではありませんね。

ニキビ(痤瘡)と脂漏性皮膚炎のおはなしです。

 

尋常性痤瘡とは、

脂腺性毛包をおかす慢性炎症疾患。

ものものしい響きですが、これが「ニキビ」。

性ホルモン(特にアンドロゲン)の働きにより、

皮脂腺の機能が亢進します。

油が全部皮膚表面に出てしまえばいいのですが、

腺の途中(もしくは出口)で塊になると(角栓)、

そこから下が閉鎖空間になってしまいます。

この正常皮膚色の小さなもり上がりで

毛孔が閉鎖したものが「閉鎖性面皰(白ニキビ)」。

やがて、たまった脂で毛穴が押し開かれ、

酸化して黒くなった内容物(角栓)が見えるようになります。

これが「開放面皰(黒ニキビ)」ですね。