12 末梢神経のおはなし(3)触覚と皮膚(後半)(2)
いわゆる「ひげそりまけ」は尋常性毛瘡。
髭の生える場所に限局した、
細菌性毛包炎、毛包周囲炎のことです。
硬い毛に一致して紅色血疹、
膿疱ができて、痂皮化します。
かゆみや痛みが出ることもありますね。
炎症を起こしている細菌をやっつける抗菌剤は大事ですが、
刺激を与えないことが一番です。
セッケンで洗ったら、
ちゃんと水やぬるま湯で洗い流すこと。
髭は深剃りをしないことですね。
可能なら「そる」ではなく
「はさみで整える」のほうが刺激を減らせますよ。
炎症は毛穴に限ったものではありません。
汗腺も感染場所になってしまいます。
汗疹(あせも)は発汗時に小水疱や小丘疹が出るもの。
浅いところがつまった小水疱ではかゆみは出ませんが、
少し深いところで詰まる(小丘疹)と
湿疹を併発してかゆみと赤みが出てきます。
そこにブドウ球菌が感染し、
膿疱ができてしまうとエクリン汗孔炎(汗孔周囲炎)です。
夏の乳幼児の、頭、顔、背中、腰部によくできますね。
膿になってしまったところには、
抗菌剤を使うことになります。
何よりも、あせもを作らないことが大事ですね。
シャワー等をうまく使って、皮膚の清潔を保ちましょう。
ひどくなってしまうと
多発性汗腺膿疹(「あせものより」)。
細菌が汗腺体まで入り込んでしまったため、
押したときの痛みが強く出ます。
膿瘍ができてしまったら、
切開して膿を出す必要があります。
そこまでひどくなる前に対処してくださいね。
乳幼児の夏場に多いものといえば、
伝染性膿痂疹を忘れてはいけません。
黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が感染して、
水疱や膿疱を作るものです。
黄色ブドウ球菌が原因だと「とびひ」ですね。
虫刺され等の小さな外傷等を
きっかけに起こることが多いようです。
皮膚を清潔にして、あとは抗生物質。
皮膚に菌が入り込むきっかけになった傷等も、
ちゃんと治しましょうね。
表皮ではなくもっと深い
真皮から皮下組織がおかしくなってしまうこともあります。
びまん性細菌感染症の蜂窩織炎(ほうかしきえん)ですね。
主に黄色ブドウ球菌が入り込んでしまったもので、
連鎖球菌が入り込んだときには「丹毒」とも呼ばれます。
境界がよく分からない発赤、腫脹、疼痛、熱感が出てきますよ。
とにかく安静にして、冷やすこと。
そして抗菌剤です。
血圧低下を引き起こす壊死性変化もありうるので、
軽視してはいけません