2 脈拍・血圧のおはなし(1)心臓2:心筋異常(1)
3 心筋の異常
心筋のおはなしは、見方が変わると呼び名が変わります。
心筋そのものをみれば「心筋症」。
心筋に血液が十分に届いているかをみれば「虚血性心疾患」。
心筋に伝わる電流(と脈)に注目すれば「不整脈」で、
結果として心臓の役割を十分に果たせていないことに注目すると「心不全」です。
…呼び名の多さに、頭が痛くなりますが、
言っていることはすべて「心筋がうまく働いていないよ!」。
そこを意識しながら、説明を読んでくださいね。
心筋症は心機能障害を伴う心筋疾患。
代表的な拡張型も肥大型も
「なぜか(よくわからないけど)」起こってしまう心筋の病気です。
拡張型は左心室が著しく広がってうまく縮めないもの。
うまく縮めないから、心不全はもちろん血栓塞栓症も心配ですね。
肥大型は一応、筋肉は動ける以上あまり自覚症状がでません。
せいぜい、労作時のめまい・動悸くらい。
…自覚に乏しくて、急に悪化させてしまう危険があります。
水分管理と労作回避の説明が、拡張型以上に必要ですね。
心筋がうまく働けない原因が「血液不足!」だと狭心症。
狭心症とは、一過性の可逆性心筋虚血のことです。
数分(~約15分)ほどの狭心痛(胸の圧迫・絞扼痛)が出て、
首や肩に放散痛が出ることもあります。
放散痛というのは病気の原因とかけ離れたところに出る痛みのことです。
絞扼痛は締め付けられるような痛みのことですね。
100の血液が通っていたところ、
25未満しか通れない(狭窄75%以上)状態で起こるとされています。
原因の多くはアテローム(粥腫)。
アテロームが破裂してしまうと、血栓ができ、
さらに血液の通りが悪くなってしまいます。
…心臓の血管の走行、覚えていますか?
大事なところなのに、動脈の守備範囲に重なりがありませんでしたね。
途中で通りにくいところができてしまうと、
その先が全部虚血(血液不足=酸素も栄養も不足)になってしまいます。
これでは、心臓の機能を十分に果たせませんね。
狭心症の発作(狭心痛)が出たら、
すぐにニトロ舌下錠(もしくはスプレー)で血管を広げてあげましょう。
血管を広げる作用のあるニトログリセリンを、
肝臓の初回通過効果(分解されて効果ダウン)なく、
すぐ届けるための与薬方法です。
血管が広がると、血液が通りやすくなります。
必死に血液を送り出そうとする心臓の負担が減るのはよいことですが、
血管が広がると、血圧が下がります。
頭痛や立ちくらみの危険がありますので、
座ってから(横になってから)お薬を口にしてもらってください。
血栓防止に、アスピリンも必要になりそうです。
狭心症はカテーテルを入れて、
ステントワイヤーで血管の内側を広げてあげれば、
「梗塞」という最悪の状態は防げるはずです。
でも血栓予防をしつつカテーテルを入れることになるので、
出血性合併症は心配ですね。
心臓に負担をかけて発作が起きないよう、水分管理や労作回避も必要です。
…そもそものアテローム対策もしないといけませんね。
理解するところいっぱい、「看る」ところもいっぱい。
だからこそ、看護師国家試験頻出分野です。