5 体温のおはなし(2)過敏症と自己免疫疾患(8)

(2)自己抗体以外の自己免疫疾患

自己抗体はないけど、

自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患もあります。

 

代表格はベーチェット病。

原因不明の炎症性疾患で、

「①再発を繰り返す口腔内アフタ」、「②皮膚症状」、

「③アフタに似た外陰部潰瘍」、

「④眼症状」を主症状とする病気です。

 

「②皮膚症状」としては硬くて痛みのある結節性紅斑と、

毛のもとにある袋(毛嚢)の炎症皮疹が出ます。

「④眼症状」は虹彩毛様体炎とブドウ膜炎で、

どちらも視力低下を引き起こす重大症状です。

あとは、特別なところが悪くなる特殊型として

「腸管ベーチェット病」、「血管ベーチェット病」、

「神経ベーチェット病」もあります。

腸管ベーチェット病は、腹痛・下痢・下血だけでなく、

穴の開いてしまう穿孔を起こしうる危険。

血管ベーチェット病は静脈に多く起こり、

閉塞を起こすことが問題です。

…肺塞栓が怖いですね。

神経ベーチェット病は、

頭痛・発熱から始まり、麻痺や運動障害を起こします。

認知症や人格変化までも生じうる、特に難治性の病気です。

 

いずれも、基本的に慢性経過をたどります。

できるだけ増悪因子(ストレス、虫歯等の感染)を避け、

規則正しい生活を送ることが大事です。

眼の症状に対しては、

免疫抑制剤の内服とステロイド等の外用になるはずです。

 

血管に特徴的なものが血管炎症候群。

余りに多種多様ですが、

共通するのは血管壁の炎症と損傷。

太い血管で起きる代表が「大動脈炎(高安動脈炎)」。

各所で狭窄・閉塞・拡張が起こり、いたるところで虚血が!

頭部乏血症状とも呼ばれる

頭痛・めまい・失神が起こることもあります。

 

中ぐらいの血管で起こる代表は

「結節性多発動脈炎」と「川崎病」です。

 

「結節性多発動脈炎」は、

フィブリノイド壊死性血管炎とも呼ばれます。

血管炎が起きたところの虚血から梗塞を起こし、

壊死が起きます。

 

「川崎病」は、発見者の名前が付いた、

4歳以下の子供で発症が多い病気です。

原因不明の40℃近い高熱が5日ほど続き、リンパ節が腫れます。

唇や舌が赤くなり、白目も充血して赤く、

手足も赤く腫れてきます。

 

血管炎症候群ではステロイドや免疫抑制剤等の

薬物療法が主な対処法になります。

ストレスと寒冷、血管への負担をできるだけ避けることが必要です。

生活習慣の改善で、血管負担を軽くすることができますよ!

川崎病では、血漿交換と免疫グロブリン療法がおこなわれます。

血栓防止と抗炎症作用のアスピリンや、

ステロイド等もつかわれますね。

怖いのは、冠動脈瘤ができてしまうこと。

一刻も早く血管の炎症を抑える必要性があることは、

血管のところで勉強しましたね。

以上、自己抗体はなくとも

自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患でした。

自己免疫疾患の多くが

難病指定されている理由も分かったと思います。

各種の重い症状、

原因不明ゆえに根本的対策がない…しかも慢性疾患。

本人や家族に対する長期介入の必要性が分かりますね。

 

【あとがき】

ここまでで、体温に反映される1グループ目。

感染に対する免疫の働きをおはなししてきました。

血球データの必要性、もう分かるはずです。

次回からは2グループ目。

消化器系のおはなしに入ります。

特に栄養を吸収するまでの上部消化器系のおはなしですね。

消化と関係の深い、

肝臓・胆嚢・膵臓についても説明していきますよ。