3 脈拍・血圧のおはなし(2):血管(血栓・塞栓)
(2)塞栓・血栓
粥腫等がはじけてしまった後の、塞栓のおはなし。
関係の深い肺循環障害と、
「はじける」がらみで
動脈瘤や動脈解離のおはなしもここでしましょうね。
「塞栓」というのは、
血管内を流れてきた「塞栓子」が血管につまること。
脂肪、細菌の固まり、空気等も塞栓子になりますが、
多くは血栓(血液の固まり)です。
血管が詰まってしまうと、その先の細胞に血液が届きません。
だから塞栓が起きてしまったら、
何よりも細胞に血液(酸素と栄養)を届けることが第一です。
塞栓子の大きさと血管の太さにもよりますが、
塞栓が発生しても無症状なこともあります。
かたや、突然死も起こりえます。
「何が起きても不思議じゃない!」という意識でいてください。
最大原因の血栓には、
先天性後天性含めこれまた多くの発生原因があります。
発生しやすい三大原因は
「①血流停滞」「②内皮障害」「③凝固能亢進」です。
②の内皮障害は、つい先程確認しましたね。
①の血流停滞は、前回の心不全各種に加えて、
カテーテル(検査・治療・留置)によるものや、
手術や妊娠、長期同一姿勢でも起こりえます。
「飛行機等でずっと座っていて、立ちあがったら…!」
というエコノミー症候群は、長期同一姿勢の一例ですね。
③凝固能亢進は手術や妊娠、ピル(経口避妊薬)等で起こります。
これらの原因があって、
「安静解除後の初歩行」直後が最大の危険発生地点です。
脂肪塞栓のときには、
大腿骨折や骨盤骨折の24~48時間後が危険発生地点になります。
そこが折れると脂肪の塊が血液中に出る理由は「黄色骨髄」。
造血能を失った骨髄は、
脂肪がたまることで赤から黄色に変わること、思い出しましたか?
エコノミー症候群を起こさないために、
飛行機の中でも足の筋肉のストレッチはお忘れなく!
長期臥床なら、
弾性ストッキングやマッサージ(もしくは間欠的空気圧迫法)も
活用してくださいね。
いずれも主に下肢の、深部静脈血栓症予防に役立ちます。
必要に応じて、抗凝固薬の力も借りましょう。
努力むなしく血栓ができてしまったら、
血栓融解薬や血管内フィルターで
「塞栓子」にならないようにしてあげましょう。