5 体温のおはなし(2)過敏症と自己免疫疾患(7)
筋肉に出るものが多発性筋炎と皮膚筋炎。
約5~8割に抗核抗体ができ、
その他の自己抗体ができることもあります。
どちらも骨格筋が障害されて、筋肉痛が出現。
立ち上がる・飲み込むといった
日常生活動作が苦痛・困難になってきます。
約半数は間質性肺炎を併発しますよ。
皮膚筋炎で特徴的な皮膚症状が
「ゴットロン丘疹」と「ヘリオトロープ疹」です。
ゴットロン丘疹は、ごく小さいピンク~暗紫色の紅斑隆起が、
手・肘・膝の伸ばす側の皮膚に出るもの。
ヘリオトロープ疹は、両まぶたの上に出る暗紫色の皮疹のこと。
ヘリオトロープというのは、香水にも使われる暗紫色の花。
日本人では、もっと明るい色(ピンク~暗紫色)で出ることもありますよ。
どちらの筋炎でも、
薬はステロイド等の免疫抑制剤を使うことになります。
ニューシモチス肺炎(カリニ肺炎)をはじめとする日和見感染や、
クッシング症候群を用心しておいてくださいね。
粘膜に特徴的なものもあります。
粘膜の、特に分泌腺がやられてしまうのが
シェーグレン症候群です。
涙腺・唾液腺に代表される外分泌腺の慢性炎症に基づく、
乾燥症候群です。
女性に多く、50代が発症ピーク。
3主徴は「目がゴロゴロする目乾燥症(ドライアイ)」、
「声かすれ、口渇、痛みのでる口腔乾燥症」、
「関節リウマチ(様症状)」です。
約8割に出る抗核抗体はじめ、
とにかくいろいろな自己抗体ができるため、
高γグロブリン血症になることが特徴。
腺症状に対しては、
点眼薬や人工だ液等の対症療法が主になります。
ただ、これらは生活の質(QOL)に深くかかわってきます。
重篤化すると視力障害・経口摂取障害のもとですから、
生活指導をおろそかにしないでくださいね。
以上、たくさんある
「自己免疫抗体が悪さをする病気」の代表についておはなしでした。
これらが混ざったような、混合型もあります。
でも、まずはそれぞれの病気の基本スタイルを理解してくださいね。