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9 呼吸器系のおはなし(2)肺(肺胞)と骨の基本(5)

非小細胞性肺がんは、さらに3つに分けられます。

気管入り口付近で、

本来ないはずの扁平上皮のような形を作る

「肺扁平上皮がん」。

分泌液を出すところ(腺)由来の「肺腺がん」。

肺扁平上皮がんでも肺腺がんのどちらでもない

(未分化な)「肺大細胞がん」です。

気管入り口の肺扁平上皮がんは、

タバコの悪影響を大きく受けたものですね。

非小細胞性肺がんは、手術で切ることも

化学療法・放射線療法になることもあります。

注意するところは、小細胞性肺がんと同じですよ。

 

腫瘍はがんだけではありません。

縦隔腫瘍も呼吸に関係の深い腫瘍です。

 

まず、縦郭とはどこか。

「縦隔は胸郭内の左右縦隔胸膜で

囲まれた部分」とされますが、

これだけではよく分かりませんね。

呼吸器系は、

「通路の気管・気管支」「交換所の肺胞」だけではありません。

それらが入る空間の胸郭と、

胸郭の大きさを変える筋肉が必要です。

 

せっかくなので、胸郭を確認して、

胸痛についておはなししてしまいましょう。

胸郭というのは肋骨、胸骨、椎骨(骨的胸郭)と、

それに付く筋肉によって出来ている部分。

肋骨は「あばら骨」ですね。

肋骨や胸骨横や上には

内外肋間筋や補助呼吸筋群が付いています。

胸郭と、その下を覆う横隔膜で出来る体腔が、胸腔です。

これら筋肉のおかげで胸郭(外枠)の大きさが変わり、

そのせいで肺胞が膨らんだり押し縮められたりします。

肺胞が引っかかってしまうといけないので、

胸郭の内側は膜で覆われています。

さらに左右の肺の周りも膜で覆っておけば、

滑らかに動きますね。

心臓周りの構造と一緒です。

胸郭の中を、左右に(縦に)隔てる胸膜にはさまれた、

気管や気管支、心嚢があるところが「縦隔」。

これなら、どの辺りにあるかイメージできますね。

 

「胸が痛い!(胸痛)」というとき、

思い出してほしいことは

「肺胞や中小気管支は痛みを感じない」ということです。

だから、痛みの原因(もしくは痛みを感じているの)は

皮膚、筋肉、血管や胸膜のはずです。

 

心臓や血管の痛みだったら、生命大ピンチ。

狭心症や心筋梗塞

(冠動脈の痙攣や、狭窄、心筋壊死による)の痛みです。

心窩部に痛みが直接出ることもありますが、

左の肩や腕に放散痛が出うることも

覚えておいてください。

横隔膜は横隔膜神経や肋間神経の

コントロールを受けています。

だから横隔膜に「変!」が起きたとき、

中心部の「変!」は肩の痛み、

辺縁部の「変!」は肋間部に痛みが出てきます。

せきや呼吸で痛みが強くなるのがポイントですね。