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11 各論6:呼吸(呼吸器系):赤血球(1)

2023年6月24日

続いて赤血球に効く薬のおはなし。

赤血球は酸素運搬に特化したため核がなく、

造血幹細胞からこまめに作る必要がありましたね。

ヘモグロビン色素を作るためには

鉄(ミネラル:鉄イオン)が必要で、

働ける赤血球になるため(成熟するため)には

腎臓から出る糖タンパク質の

エリスロポエチンが必要でした。

ここまで確認すれば、

赤血球が足りないときに

補充する必要のあるものは分かりますね。

細胞分裂に必要な葉酸とビタミンB12、

さらに鉄とエリスロポエチンです。

 

葉酸補充にはそのものずばり葉酸(フォリアミン)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00049042

ビタミンB12補充には

ビタミンB12製剤のコバマミドが使われます。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055411

「細胞分裂に必要」な、セットになるビタミンなので、

使われる病気(効能・効果)がとても多いですね。

 

鉄補充の一例として、乾燥硫酸鉄(フェロ・グラデュメット)。

禁忌は鉄欠乏状態にない人です。

鉄が十分にあるのに薬で補充してしまうと、

悪心・嘔吐・肝不全や

血圧低下・ショック・昏睡すら起こす

過剰症の出る可能性があります。

 

慎重投与対象は消化管通過障害のある人。

薬が一部に長期滞在してしまうと、

消化管潰瘍を引き起こす可能性があります。

高齢者をはじめ嚥下障害、

消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎のある人。

さらに腸管に狭窄や憩室、

腸運動機能が低下している人では要注意です。

また、溶血(赤血球の細胞膜が破けてしまうこと)を

誘発する恐れがあるので、

発作性夜間血色素尿症の人には慎重投与になりますよ。

 

併用注意になっている薬を確認。

鉄剤の吸収が悪くなってしまうのは、

タンニン酸含有薬と制酸剤。

タンニン酸は消化管の粘膜保護に使われる薬。

制酸剤は胃酸を邪魔する薬ですね。

鉄剤と一緒に飲むと吸収が悪くなってしまうのが、

甲状腺ホルモン製剤とテトラサイクリン系抗生物質、

ニューキノロン系抗菌薬。

抗生物質や抗菌薬が吸収悪化する理由は、

鉄と「キレート」を作ってしまうからです。

キレートは、

金属イオンを挟み込むかにのはさみのことでしたね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230624更新)