11 各論6:呼吸(呼吸器系):赤血球(1)

続いて赤血球に効く薬のおはなし。

赤血球は酸素運搬に特化したため核がなく、

造血幹細胞からこまめに作る必要がありましたね。

ヘモグロビン色素を作るためには鉄(ミネラル:鉄イオン)が必要で、

働ける赤血球になるため(成熟するため)には

腎臓から出る糖タンパク質のエリスロポエチンが必要でした。

ここまで確認すれば、

赤血球が足りないときに補充する必要のあるものは分かりますね。

細胞分裂に必要な葉酸とビタミンB12、さらに鉄とエリスロポエチンです。

 

葉酸補充にはそのものずばり葉酸(フォリアミン)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00049042

ビタミンB12補充にはビタミンB12製剤のコバマミドが使われます。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055411

「細胞分裂に必要」な、セットになるビタミンなので、

使われる病気(効能・効果)がとても多いですね。

 

鉄補充の一例として、乾燥硫酸鉄(フェロ・グラデュメット)。

禁忌は鉄欠乏状態にない人です。

鉄が十分にあるのに薬で補充してしまうと、

悪心・嘔吐・肝不全や

血圧低下・ショック・昏睡すら起こす過剰症の出る可能性があります。

 

慎重投与対象は消化管通過障害のある人。

薬が一部に長期滞在してしまうと、消化管潰瘍を引き起こす可能性があります。

高齢者をはじめ嚥下障害、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎のある人。

さらに腸管に狭窄や憩室、腸運動機能が低下している人では要注意です。

また、溶血(赤血球の細胞膜が破けてしまうこと)を誘発する恐れがあるので、

発作性夜間血色素尿症の人には慎重投与になりますよ。

 

併用注意になっている薬を確認。

鉄剤の吸収が悪くなってしまうのは、タンニン酸含有薬と制酸剤。

タンニン酸は消化管の粘膜保護に使われる薬。

制酸剤は胃酸を邪魔する薬ですね。

鉄剤と一緒に飲むと吸収が悪くなってしまうのが、

甲状腺ホルモン製剤とテトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗菌薬。

抗生物質や抗菌薬が吸収悪化する理由は、

鉄と「キレート」を作ってしまうからです。

キレートは、金属イオンを挟み込むかにのはさみのことでしたね。