6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(18)
炎症から生じる腸閉塞でしたが、
炎症の一因として思い出してほしいのがベーチェット病。
自己免疫疾患のベーチェット病といえば
口腔粘膜アフタですが…
「腸管ベーチェット病」という特殊型もあります。
小腸の大腸より(回腸)と、
大腸の始まり(盲腸)のつなぎ目(回盲部)付近に
潰瘍が出やすい特徴があります。
発熱、腹部腫瘤、腹痛、下痢だけでなく、
下血や穿孔もありえます。
しかも再発が多すぎて手術しても
「すっきり治った!」にはなりません。
お薬と、栄養コントロールで
長くお付き合いしていくことになります。
ところどころで出てきた「穿孔」という言葉。
これは消化管に穴が開いて、
中のものが腹腔内に出てしまうことです。
そうすると…腹膜炎が怖いですね。
腹膜の炎症が、腹膜炎です。
「腹膜」と一言で言っても、
とても広いので説明しにくいところでもあります。
ここで炎症が起こる原因も、
これまたたくさんあります。
急性炎症は胃・腸・胆嚢・膵臓・虫垂等の
炎症から穿孔してしまうのが大原因。
慢性炎症は、腸に病巣ができる「腸結核」等で見られます。
腹膜炎の症状は疼痛です。
発熱、悪寒、嘔吐、頻脈が出てから対応が遅れると、
意識を失って生命の危険すら引き起こします。
特徴的な「筋性防御」と
「ブルンベルグ徴候」が出たら、危険サインです。
「筋性防御」というのは、
腹筋が板のように固くなってしまうこと。
「ブルンベルグ徴候」というのは、
腹部を圧迫した手を急に離すと、
周囲に痛みが響くことです。
腹部のアセスメント中にこれらが見られたら、
即、報告!
すぐに手術の準備が始まるはずです。
必要に応じて輸血や補液、
酸素療法に抗生物質等の薬物療法も追加ですよ。