6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(19)

食べ物の流れに従って

上部消化器系のおはなしをしてきましたが。

大事なのに、すっぽり抜けたところがありますね。

消化酵素とそれを助けるものが出るところ、

肝臓・胆嚢・膵臓です。

ここがうまく働かないと、

食べ物を吸収できる大きさにすることができません。

 

まずは消化酵素の宝庫「膵臓」、

次に消化酵素を助けるものの中継地点「胆嚢」、

最後に人体最大の合成・分解工場「肝臓」といきますよ。

 

1 膵臓の異常

膵臓について本格的に始める前に一言。

このブロックでは消化器系の一部としておはなししますが、

膵臓はホルモン産生地点でもあります。

次回の内分泌系にも影響が出うるということを、

頭の隅に入れておいてくださいね。

 

膵臓は糖質消化酵素のアミラーゼ、

タンパク質消化酵素のトリプシン、

脂質消化酵素のリパーゼが出るところです。

だから、おかしくなるとかなり大変です。

急性膵炎は多くは6か月以内に正常化しますが…

多臓器不全(MOF)を起こして命を奪うこともあります。

原因としては約4割がアルコール性。

あとは胆石性、原因不明と続きます。

 

始まりはトリプシンが活性化され、

それにつられる形で他の消化酵素も活性化。

消化管内以外で消化酵素が働くと、

自分の体が消化され(自家消化)て、膵炎スタートです。

上腹部に腹痛が出始め、数時間でピークになります。

膵炎を起こしているのに、

痛みのない(無痛性)ことがあるのも怖いところ。

そのまま進行すると、

48時間経過から多臓器不全危険です。

冷や汗、頻脈、血圧低下のショックと、

乏尿・無尿の腎障害がほぼ同時にスタート。

呼吸不全、意識障害、出血傾向から

播種性血管内凝固症候群(DIC)…

どれほど危険な状態か、もう説明はいりませんね。

 

場所と産生消化酵素等の関係上、

合併症は「もう何でもあり!」な状態です。

とにかく、発症後48時間で急変の可能性があります。

バイタルサインを見つつ、

尿量も、サチュレーションも確認して…。

重症化してしまったら、

すぐに緊急手術ができる病院に搬送する必要が出てきます。

純粋な「急性膵炎」でとどまってくれるなら、

絶飲食で膵臓を安静に保ちつつ輸液。

あとは痛み止めや消化酵素阻害剤等の薬物療法です。

場合によっては感染症対策も必要になってくることは、

腹膜炎の可能性を思い出せばわかりますね。

 

膵炎には慢性化するものもあります。

痛みのある炎症を繰り返すうちに

膵臓の組織が線維化していく対償期。

移行期を経て非対償期に入ってしまうと、

痛みは消えますが消化吸収障害が出てきます。

膵臓組織が本来の役目を果たせなくなってしまった状態ですね。

6割以上は、アルコールが原因です。