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9 呼吸器系のおはなし(3)骨の異常(8)

運動は原則として体に良いものですが、

関節を痛めてしまうことがあります。

外力が1回働いたせいで起こる

骨折・脱臼のような「スポーツ外傷」と、

過度の繰り返しで起こる

「スポーツ障害」に分けることもあります。

 

これらの6割は下肢(特に膝)で起こります。

膝では半月板損傷や靱帯損傷が多く、

手術をして治すことがほとんど。

ただし中高年や趣味の域にとどまるときには、

固定安静を中心にした保存療法になることもあります。

 

人体で一番太い腱の「アキレス腱」。

これは下腿三頭筋(ヒラメ筋と腓腹筋)の遠位部で、

かかとの骨(踵骨)に付く腱ですね。

足関節の底屈をしてくれる筋の腱なので、

断裂してしまうと痛いだけではなくつま先立ちできません。

痛みを我慢すれば歩行自体は不可能ではありませんが、

蹴り返しのできない「ぺたぺた歩き」です。

断裂してしまったら、手術になると思ってください。

似た状態はアキレス腱周囲の炎症でも起こります。

炎症だけなら、原則保存療法です。

このときの痛み止めの薬(鎮痛薬)で、

ステロイドの筋肉注射はされないことを覚えておきましょう。

アキレス腱断裂原因の1つとされているからです。

 

上肢はラグビーや相撲等の

ぶつかり性スポーツによる肩関節脱臼が多いですね。

球関節の可動域と危険性(外れやすさ)を再確認です。

 

肘は野球肘、テニス肘が多くなります。

「テニス肘」は

テニスをする人にだけ起こるものではありませんよ。

肘から前腕、手を酷使する人に発生する

腱付着部炎が、いわゆるテニス肘。

キーボードの長時間使用等で圧痛が出てきたら、

立派なテニス肘です。

原則は安静、温熱治療、消炎鎮痛剤の保存的療法ですよ。

 

ここまで重症ではありませんが、

ねんざも関節の「おかしい!」に入りますね。

関節包や靱帯が傷ついたものが捻挫(ねんざ)。

関節を形作る2つ以上の骨の結合面が

完全に外れてしまったものが脱臼。

結合面が一部外れてしまったものが亜脱臼です。

結合面が一度完全に外れても、

元の位置に戻ればねんざになります。

 

スポーツ等で見られる突き指はねんざのこともありますが、

脱臼や骨折を伴うことも少なくありません。

動かさないように冷やしつつ、固定して病院へ。

外から力をかけて無理に戻そうとすると、

もっと悪化させることになりますよ!

以上、骨と関節についてのおはなしでした。

今までの勉強の復習の部分も、

次回の予習になっている部分もありましたよ。

「あれ?これ前見たことあったけど…?」と思ったら、

ぜひ前の部分も見直しておいてくださいね。