7 体温のおはなし(4)内分泌系(全般)(7)
逆に副腎皮質の分泌機能が低下することもあります。
例えば、先天性の「副腎皮質ステロイド合成障害」。
こちらは必要な副腎皮質成分を薬で補充し、
外性器異常には外科的形成術がとられます。
一般的な副腎皮質機能低下症の代表は「アジソン病」。
易疲労感、食欲不振、低血圧、低血糖、
高カリウム血症と低ナトリウム血症が出ます。
これらは鉱質コルチコイドと糖質コルチコイドの働きを
思い出せば分かりますね。
糖質コルチコイドは血糖値上昇作用。
鉱質コルチコイドは
レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系で
血液中のカリウムを原尿に分泌、
原尿中のナトリウムを体内へ再吸収していたからです。
原因は、かなり多岐にわたります。
視床下部や下垂体のせいはもちろん、
がんや感染症、薬でも起きますし、原因不明のものもあります。
対策としては、原則として薬による補充になります。
何より怖いのは急性の副腎不全「副腎クリーゼ」。
今まで何回も出てきましたが、
副腎皮質ホルモンの分泌量急低下により、
循環不全が起こります。
循環不全が起こるとどうなるか…は、
循環器系のところでおはなししましたね。
副腎クリーゼは視床下部、下垂体の問題だけではなく、
外傷等による副腎損傷・機能不全でも
起きることをお忘れなく!
副腎髄質がおかしくなってしまった例としては、
「褐色細胞腫」を覚えておきましょう。
副腎髄質に由来する腫瘍で、20~40代によく起こります。
症状は5H。
高血圧(Hypertension)、高血糖(Hyperglycemia)、
代謝亢進(Hypermetabolism)、
頭痛(Headache)、発汗過多(Hyperhidrosis)ですね。
まさに副腎髄質で作られる交感神経系神経伝達物質、
ノルアドレナリン(アドレナリン)の働きが強すぎた状態です。
交感神経系の復習にもってこいですね。
交感神経系が暴走している状態なので、
どうしても不安・焦燥感が出やすくなります。
でも原則として適切な治療でちゃんと治りますので、
精神的サポートをしましょう。
薬物で少しコントロールしてから、腫瘍切除の流れになります。
(腎臓の働きについて復習をした後、)
来月は膵臓と各種代謝異常のおはなしです。
先月後回しにしてしまった
肝臓の貯蔵についてのおはなしでもあります。
新生児マススクリーニングの残り4つの紹介でもありますよ。