8 下部消化器系・生殖器系のおはなし(3)生殖器系(4)

(3)性感染症

男性と女性をつなぐものは

「性分化異常」と「更年期」だけではありません。

STD(性感染症、STIとも呼ばれる)を忘れてはいけませんね。

 

性行為でうつる感染症には、さまざまな種類があります。

全てを説明することはできませんので、

「TORCH」中心に簡単におはなししますよ。

 

「TORCH」というのは、

不妊もしくは胎児感染・先天奇形を引き起こす

可能性のある感染症の頭文字です。

Tはトキソプラズマ、Oは「その他(others)」、

Rは風疹(rubella)、Cはサイトメガロウイルス、

Hは単純ヘルペスウイルスです。

「その他」に梅毒や淋菌、HIV等たくさんの病気が入ります。

 

トキソプラズマは原虫。

ネコや鳥等の中で生活していたトキソプラズマがヒト体内に入り、

胎盤経由で胎児に感染します。

通常の免疫状態の成人なら軽い風邪状の症状でも、

胎児には死産・流産、

脳や視力に(遅効性を含む)重い障害の出る

「先天性トキソプラズマ症」の原因になります。

 

風疹は3日ほどの熱が出るので

「3日はしか」とも呼ばれます。

その名称のせいで、

はしか(麻疹)と比べて軽く考えられがちですが、

胎児に対しては恐怖の存在。

先天性風疹の3大症状は難聴、白内障、心疾患。

こちらも胎盤経由で感染してしまうので、

妊娠中に感染しないように

事前に予防接種をする等の予防が第一です。

 

サイトメガロウイルスは、

胎児にとって死産・流産の原因。

生存できても、

脳や視力、聴力にも悪影響を及ぼします。

しかも性交渉による感染だけでなく、

だ液から感染する困りものです。

保育園や幼稚園で子供が感染し、

その子供の世話で感染…も十分起こりえます。

 

単純ヘルペスウイルスは、

胎盤感染を起こすと中枢神経に異常が出てきます。

脳細胞が十分に発育できない小頭症等の原因ですね。

でも一番感染経路になりうるのは出産時の膣。

赤ちゃんの皮膚に痛々しい水疱ができる皮膚型だけでなく、

脳炎と後遺症が残る中枢型や

生命危機の全身型の可能性もありますよ。

 

「その他(O)」にはたくさんのものが含まれます。

クラミジア、淋菌、梅毒、HIVが有名どころです。

クラミジアと淋菌は、

女性では目立った症状が出ずに

不妊症の原因になることが多いですね。

男性では膿と排尿痛が出るので、

感染にすぐ気づくはずです。

梅毒はトレポネーマ(原虫の仲間)が原因。

感染後3週間の潜伏期間を経て

赤いしこりやリンパ節の腫れが出てきます。

感染後3か月でバラ色の発疹(バラ疹)と

湿った平らないぼ(扁平コンジローマ)が出現。

ここまでで気付けないと、

数年後にはゴム腫や精神症状といった全身症状に。

胎児にも感染しますが、約2/3は無症状。

症状が出ると、発熱、発疹、肺炎、肝臓や脾臓に腫瘍がみられます。

これを放置すると、成人感染と同様の経過をたどります。

HIVについては、白血球と免疫のところでおはなししましたね。

 

他にも性交為等で感染する病気はあります。

これらに対しては、なんといっても予防が一番。

不特定多数と性関係を持たない。

特定のパートナーとの間でも、コンドームを使用する。

クラミジアと淋菌に代表されるように、

オーラルセックスでも感染

(咽頭炎等のもと)するものもありますからね。

もしやと思ったら、ちゃんと抗体検査を受けましょう。