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9 呼吸器系のおはなし(2)肺(肺胞)と骨の基本(4)

結核の症状は微熱、食思不振、倦怠感、

寝汗、体重減少からスタート。

咳や膿性痰、血痰、胸痛が3週間続いてしまったら、

肺結核を疑ってください。

たいがいの呼吸器疾患は、

3週間ほどで治るはずですからね。

 

ツベルクリン反応は、

結果が出るまでに48時間以上かかります。

アレルギー(過敏症)反応の、

遅滞型(Ⅳ型)だったからですね。

発赤腫脹部が9mm以下なら陰性、10mm以上だと陽性です。

陽性のときに「今かかっているか否か」を見るときには、

インターフェロンを調べることで判別できますよ。

治療の基本は抗結核薬4剤併用の6か月持続服用です。

ちゃんと飲めば、100%治ります。

だからこそ、服薬指導が重要になってきますよ!

 

服薬の重要性をおはなしした直後ですが、

薬剤性の肺障害も存在します。

新しい薬を使い始めて、数か月以内に始まった、

発熱・発疹、乾性咳嗽、呼吸困難がでたら、

薬剤性肺障害かも。

とにかく、使っている薬をストップすることになります。

病院の薬だけではなく、民間療法薬やサプリメント、

非合法薬も原因になりえます。

服薬情報確認のときに、

これらについても頭に置きつつ

話を聞けるようにしておきましょうね。

 

2 がん、胸痛、サルコイドーシス

肺でも腫瘍(がん)は起こります。

男性の死亡率は1位、女性では大腸がんに次いで2位。

死亡者数が増加傾向にある危険ながんです。

「肺がん」といいますが、

9割以上は気管支からできたがん。

「これが肺がんだ!」という

特異的な症状はありません。

あえて言うなら、

多めの咳・痰(血痰含む)、胸痛、呼吸困難ですが、

他の呼吸器疾患と同じ症状ですね。

 

種類分けが少々細かいので戸惑うかもしれませんが、

まず「がん細胞が小さいか否か」で分けます。

「小細胞性肺がん」が約2割、

残りが「非小細胞性肺がん」です。

 

小細胞性肺がんは、

入り口付近(気管支でも中枢側:まだ太いところ)にできる、

成長しやすくて転移しやすいがん。

タバコの悪影響がとても大きいのが特徴です。

見つかったときにはたいてい脳や骨、副腎等に転移した後なので、

手術対象になるのは1割未満。

不幸中の幸いとばかりに

化学療法も放射線療法も効くので、

原発巣も転移部も化学療法・放射線療法で

対処することになります。

 

肺がん治療に限定せず、

一般的にがんの化学療法や放射線療法で、

何に気を付けるかイメージできますか?

骨髄で血球が分裂できない悪影響を受けますから、

貧血、易感染性、出血傾向(止血遅延)。

舌や小腸の上皮細胞の生まれ変わりが阻害されて、

栄養吸収不全や味覚異常の消化器系症状。

さらに腎障害、悪心嘔吐、

脱毛や末梢神経障害も起こりえますよ。

「がん細胞は異常増殖する細胞。

細胞分裂を止めたらがん細胞は困るけど、

正常細胞も分裂盛んなところは困る!」です。