9 呼吸器系のおはなし(2)肺(肺胞)と骨の基本(9)

急性呼吸不全は

血液中の二酸化炭素濃度が増えないⅠ型と、

二酸化炭素濃度が上がって

高炭酸ガス血症(PaCO₂>45Torr)を起こしたⅡ型があります。

例えば、急性のⅠ型は

がん、喘息、肺炎、血栓、塞栓で起こります。

酸素を取り入れ二酸化炭素を吐き出す

「呼吸」はできているけど、

酸素をうまく取り入れられない

(酸素をうまく運べていない)状態です。

 

急性のⅡ型は

重症筋無力症や筋ジストロフィー症等の「呼吸筋障害」、

外傷、異物狭窄・閉塞、胸部運動制限等の

「気道・胸部異常」で起こります。

こちらは呼吸自体ができていない状態ですね。

神経異常(ポリオや薬による呼吸中枢抑制等)でも

起こりますよ。

 

慢性呼吸不全は先天性疾患に加えて、

肺がん、肺繊維症、

呼吸筋異常や神経異常でも起こります。

もちろん、今まで勉強してきた病気

(COPD、塵肺症、間質性肺炎、肺結核等)の

急性増悪でも起こりえますね。

症状は息切れ、チアノーゼ、肺性脳症。

息切れとチアノーゼは、

どちらもすぐに細胞酸素不足をイメージできますね。

取り込む酸素が足りないのも、

酸素を運ぶ血液が届かないのも、

細胞にとっては息苦しくてたまりません。

肺性脳症は、呼吸機能障害による脳神経症状の総称です。

具体的にはめまい、頭痛、思考力の低下、

見当識障害、傾眠、昏睡。

これらの症状は低酸素血症によるものと、

高炭酸ガス血症によるものの双方がありますよ。

 

原則として、

呼吸不全には酸素療法が行われますね。

筋肉及び神経疾患の一部に対しては、

人工呼吸療法も導入されます。

最初は非侵襲的療法(NPPV)で、

進行して自発呼吸の力がなくなってきたら

侵襲的療法(IPPV)に移行する流れです。

 

病院内なら、酸素療法とバイタルチェック。

各所ケアの際にチアノーゼの有無も確認していきましょう。

尿量や精神機能についても

チェックリストに入れてくださいね。

低酸素による腎機能不全の兆候を

見逃してはいけませんし、

低酸素血症も高二酸化炭素血症も、

どちらも意識障害等の精神症状が出てきますからね。

 

在宅療法では、医療職が見ることのできる時間に限界があります。

確認したい事項をチェックリスト化して、

家族とも情報を共有してください。

細胞に酸素が届きにくくなっているサインを見逃すと、

細胞の、そしてヒトの生命の危険ですからね!

 

以上「呼吸」に反映される異常のうち、

「通り道(気道)」、「交換所(肺胞)」、

「外側の枠とその動き(胸郭)」について

おはなししてきました。

呼吸の「おかしい!」の最終的状況である

「呼吸不全」も、もう分かりましたね。

次回は、(骨の基本を確認した後)残っている

「外側の枠とその動き(胸郭の胸骨と肋骨)」として、

骨のおはなし。

そして呼吸を命令する神経(呼吸中枢)についても、

おはなししますからね。