9 呼吸器系のおはなし(1)通り道と赤血球(7)
「喘鳴」が出てきたので、
肺雑音について少し補足しますね。
胸部に聴診器を当てたときの、
呼吸時の正常音は分かりますか?
自分の胸に聴診器を当てると聞こえる
「スースー」「サーサー」という通過音、
それが正常音です。
正常が分かったところで、異常を確認。
笛のような「ヒューヒュー」という音
(電線の風切り音)が、笛様音。
本によっては「飛蜂音」ともされていますね。
通り道の気管や気管支が狭く、
勢いよく空気が出入りしている音です。
いびきのような「ゴゴ~」「ずぞー」という音
(連続的なうなり音)が、いびき音。
本によっては「乾性ラ音」ともされています。
大きな分泌物等で通り道が閉塞されている音です。
水の泡のような「ぶくぶく」「ポコポコ」音が、水泡音。
本によっては「湿性ラ音」ともされています。
分泌物等液体の中を空気が通っている音ですね。
そして髪をひねるような
「ちりちり」「ピチピチ」という音が捻髪音。
本によっては、これも「湿性ラ音」とされています。
これはもう少し先でおはなしする
肺胞がうまく伸び縮みできていないときに出る音。
ちょっと音がイメージしにくいのですが…
ゴムが古くなってきしんでいるところを
思い浮かべてくださいね。
(4)睡眠時無呼吸症候群
睡眠中の通り道が狭くなるのが
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」。
睡眠中に呼吸異常が起こるもので、
気道が閉塞してしまって
努力して呼吸している「閉塞型」と、
閉塞はないけど呼吸異常の「中枢型」に分けられます。
ここでの「無呼吸」は10秒以上の呼吸停止のこと。
「低呼吸」は、3~4%以上の
経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)低下を伴う、
10秒以上の気流の減少です。
3~4%も酸素と結合している
赤血球のヘモグロビンが減る以上、
空気の流れはあっても細胞にとっては無呼吸と同じ扱い。
実際に短期覚醒を引き起こして、睡眠の質が低下しています。
上気道の咽頭から喉頭にかけては、
変な立体構造になっているのは事実。
ここに肥満等の因子が重なると、
俄然発症可能性が高まってきます。
日中の過度の眠気や、
家族等による指摘(呼吸停止、大いびき)で気付くことが多いですね。
軽いうちならマウスピースで対応できます。
中~重度では、鼻マスクによる
持続気道陽圧療法(CPAD)を持続使用することに。
甲状腺機能低下症や末端肥大症を併発している人は、
これらの基礎疾患の治療で改善することが多いですね。
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧原因の1つです。
途中の短期覚醒で、活動モード担当の
交感神経系(血圧上昇)が優位になるタイミングが増えてしまうから。
予防のためにも、栄養と運動の両側面から肥満を解消しましょう。
酒やタバコ、睡眠薬や精神安定剤も
可能なかぎり控えたいところです。
眠るときに横を向く(側臥位睡眠)も、
呼吸停止を防ぐ有効手段ですよ。