12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑥パーキンソン病の薬(2)
レボドパの併用注意薬の続きです。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056046
他のパーキンソン病薬と併用すると、
精神・神経に対する作用が強く出てしまいます。
全身麻酔薬の中にはハロタンなどのように
ドーパミン受容体の感受性を高めるものがあります。
その薬とレボドパを併用すると、
不整脈等が出てしまう可能性がありますね。
血圧降下剤の一部はレボドパと併用すると
なぜか血圧降下作用が強く出てしまいます。
レボドパの効果が強く出る併用注意薬として、
NMDA受容体拮抗薬(メマンチン塩酸塩)があります。
NMDAというのは、N-メチル-D-アスパラギン酸のこと。
NMDA受容体拮抗薬は、
アルツハイマー型に代表される認知症のお薬です。
認知症には様々な型があります。
そのうちの1つ、
アルツハイマー型認知症の本当の原因は現在研究中です。
仮説の1つとして、
「グルタミン酸によるNMDA受容体への刺激が強すぎるから、
神経細胞が抜け落ちてしまうんだ」というものがあります。
それを邪魔するためのお薬が、NMDA受容体拮抗薬です。
最初から「レボドパと併用する」ことを前提とした薬もありますよ。
エンタカポンは、レボドパの代謝酵素(COMT)を邪魔することで、
レボドパの効きを良くする
(血中半減期増加、中枢神経到達量増加)薬です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066104
禁忌は本剤アレルギーに加えて、
悪性症候群と横紋筋融解症の既往がある人。
横紋筋融解症の原因としてすぐに思いつくのは
災害・事故後等の「クラッシュ症候群」かもしれませんが…。
熱中症をきっかけに横紋筋融解症が起こることもありますよ。
既往歴を聞くときには、
ちゃんと意識しながら確認してくださいね。
妊娠・妊娠可能性のある人や
授乳中の人は禁忌に含まれていませんが、
扱いとしては「やむを得ず」ですね。
乳汁移行があり、動物実験で胎児の骨化遅滞が報告され、
安全性は確立されていません。
小児についても、安全性未確立ですよ。
慎重投与対象は肝障害のある人と褐色細胞腫の人。
肝障害には既往も含まれますので、ご注意を。
エンタカポンの併用注意は、次回おはなししますね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20240128更新)