12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑦統合失調症の薬(8)
今まで、統合失調症に効くお薬を紹介してきましたが。
統合失調症は神経伝達物質の異常と共に、
心も体も大パニックになっている状態でした。
心と体、なんとかして休めてあげたいところですね。
そこを助けてくれる(そこに効く)薬が、
マイナートランキライザー。
リラックス担当のGABA受容体の機能を促進してくれる、
ベンゾジアゼピン誘導体が代表格です。
「GABA」、「眠り」と耳にして、
「…それって、催眠剤(睡眠薬)じゃ?」と思った人はいますよね。
大正解。
マイナートランキライザーは、かなりの部分で睡眠薬と重なります。
同じ薬でも「眠り」に注目すると睡眠薬になり、
「心の働き」に注目すると抗不安薬と呼ばれるのはそのためです。
マイナートランキライザーは効く速さと効く時間によって
「短時間」、「中間」、
「長時間」、「超長時間」に分けることができます。
短時間としてエチゾラム(デパス)、
長時間としてジアゼパムが良く使われますが…。
エチゾラムは、短期睡眠薬としておはなしが終わっていますね。
ですから、ここではジアゼパムを紹介することにしますよ。
ジアゼパムは大脳皮質や大脳辺縁系のGABA受容体に働き、
過剰反応を抑制してくれます。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00003562
禁忌は緑内障、重症筋無力症。
そして抗ウイルス薬のリトナビル(ノーピア)の使用中です。
リトナビルはジアゼパム代謝酵素を競合的に邪魔して、
ジアゼパムの血中濃度を大幅に上げてしまうからですね。
慎重投与対象は作用が強く出うる高齢者、乳幼児、
衰弱している人や脳に器質的障害のある人。
症状が悪化する恐れのある心臓、肝臓、腎臓に障害のある人や、
中等度以上の呼吸不全がある人にも慎重に。
なお妊娠・妊娠可能性のある人に対しては
「やむを得ぬ」レベルの使用になります。
乳汁に移行するので授乳禁止。
妊娠中使用で先天奇形や新生児仮死、
離脱症状や錐体外路症状が報告されていますからね。
併用注意は抑制作用が強く出すぎる可能性のある中枢抑制薬。
全身麻酔や抗てんかん薬のフェノチアジン系、
MAO阻害薬やアルコールですね。
抑制作用が強まるだけでなく、
急に減量するとけいれんを起こす可能性のある
マプロチリン塩酸塩は、抗うつ薬の一種(SNRI)です。
筋弛緩効果が強まってしまうので、
筋弛緩薬(ダントロレンナトリウム水和物)との併用にも注意。
あとは、本剤の血中濃度が高くなって効果が強く出やすい
消化器系潰瘍薬のシメチジンやオメプラゾール、
キノロン系抗菌薬のシプロフロキサシン、
抗うつ薬の一種(SSRIのフルボキサミンマレイン酸塩)との
併用にも注意ですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20240324更新)