2 薬に共通するおはなし(1):吸収(A)の応用(10)

2019年5月2日

アナフィラキシーショックへの筋肉注射のおはなしで、

あなたの頭にこんな「?」は浮かびませんでしたか?

 

「注射じゃなくて、吸入薬じゃダメなの?

『気道を広げる』なら、

交感神経系を元気にする薬でいいんだよね?」

 

ごもっともな疑問かつ提案です。

それができたら、注射の痛みも避けられて「万歳!」だったのですが。

 

残念ながら、気管支喘息のときに使った

「交感神経系を元気にして気管支を広げるお薬」は、

アドレナリンそのものではありません。

アドレナリンの働きの一部を助ける

「β受容体刺激薬」が、気管支喘息のお薬です。

 

アナフィラキシーショックのときには、

酸素と二酸化炭素の交換ができるように気道を広げると同時に、

酸素の多い血液を全身に届けられるように

心臓の働きを活発にする必要があります。

「β受容体刺激薬」では、

気管支を広げることはできても、心臓に働くことはできません。

だから両方に効くアドレナリンが必要で、

残念ながら吸入薬では代用できないのです。

 

ちょっと出てきた「受容体」のおはなしは、

もう少し先ですることにしましょう。

薬の働き方の説明をするうえで、

避けては通れないところですからね。

 

以上が、注射薬についてのおはなし。

まだまだ薬を吸収する方法はありますよ。

皮膚から吸収する

「塗り薬(軟膏)、貼り薬(添付薬)」のおはなしです。

 

不具合(変!)があるところに直接付ける薬が、

塗り薬や貼り薬。

 

塗り薬は、薬と基剤を混ぜたものです。

基剤によって、固さや付けた後の状態が変わってきます。

例えば、カサカサしてかゆみが出てしまっているところ。

カサカサ…つまり皮膚の表面が乾燥してしまい、

本来の皮脂バリア機能が失われている状態です。

油分を追加して水分蒸発を防げれば、

水分不足による掻痒感過敏状態は解消できそうですね。

そんなときには基剤に油脂を含むワセリンを使えばいいのです。

クリームも、ワセリンに水と界面活性剤を加えたものですよ。

油脂と水と界面活性…

脂質が水になじむためのテクニック、ミセルですね。

乳化させて、

リンパが「乳糜」と呼ばれることも思い出しましたか?

カサカサではなく分泌液でジュクジュクのときには?

そんなときにはマクロゴール。

水溶性で湿気を吸うので、

分泌物の水分を吸い取ってくれます。

マクロゴールの正体は、ポリエチレングリコール。

どれくらいエチレンをつなげるか(重合するか)によって、

固さを変えることができます。

軟らかくて水のようにすーっと伸びる塗り薬も、

立体的な傷にしっかりくっつく塗り薬もできるのですね。

混ぜる量で溶ける温度も調節できることから、

坐薬にもよく使われていますね。

 

貼り薬のおはなしは、次回しますからね。