2 薬に共通するおはなし(1):吸収(A)の応用(9)

2019年5月2日

続いては静脈注射ですね。

静脈注射は、文字の通り血管(静脈)に注射するもの。

角度は15~20°くらい。

血管(の管の上下両方)を貫いてしまわないように、

三角定規の小さい角度(30°)のさらに半分の角度で刺しますよ。

血管壁の抵抗を感じて、

一回そこを突き抜けたら、もう針先は血管内のはずです。

 

薬を入れる前に、

血管にちゃんと入っていることを確認する必要があります。

注射器の押し子(ブランジャー:押しこむ部分)を

少しだけ引っ張って、

針の根本の部分に血の赤(逆血)があることを確認してから、

注射薬を押し込みますよ。

 

静脈に「薬を入れる」のではなく、

静脈から「血液を取り出す」なら採血になりますね。

採血には動脈血採血、静脈血採血、毛細血管血採血があります。

静脈血採血が一番多いですね。

それ以外の採血になるときには、

「その血液じゃなきゃいけない」理由があるときです。

静脈血採血で代用はできませんから、注意ですよ。

 

話を注射に戻して。

血管の中に薬を入れるのですから、

すぐに効く(即時吸収)ことになります。

すぐに効果が出てしまう以上、

薬を入れすぎてしまったら取り返しがつきません。

だから、看護師国家試験の計算問題に

「~何mlを注射器に取ればいいか」があるのですね。

もちろん、そもそもの大前提ですが。

「それが正しい薬なのか(薬と患者の名前チェック)」も

必要不可欠な確認点ですよ。

 

残りが筋肉注射。

大きな筋肉を狙って、ほぼ直角に刺す注射です。

筋肉には血管がたくさん通っています。

だから静脈注射にはかないませんが、

結構早く体の中へと吸収されていきます。

 

筋肉注射の代表は、

即時型(Ⅰ型)アレルギーのアナフィラキシーショックに使う

アドレナリン注射です。

食物アレルギーや蜂アレルギーの人が常に持ち歩いている

「エピペン」のことですね。

 

このアレルギーで怖いのは、

アナフィラキシーショックのせいで気道が極端に狭くなり、

気道閉塞状態になってしまうこと。

すぐに気道を広げる必要がありますが、

静脈注射のできる人や血管を探す時間的余裕はありません。

だから、太ももの外側に早く効く筋肉注射です。

針がちゃんと筋肉に届く長さに調節されていて、

練習・準備しておけば子どもでも自分でできる注射です。

太ももの外側には、

大きな血管や神経が通っていないことを教科書(のイラスト)等で確認。

これで、安心してアナフィラキシーショック時に筋肉注射ができますね。

 

次回、あなたの頭にうっすらと浮かんだ

「?」についておはなししますね。