4 薬に共通するおはなし(3):薬の働き(6)

細胞の中に入った薬のはたらきについて。

ここを理解するためには、

生化学のセントラルドグマを思い出すのが一番です。

復習しつつ、薬の作用を理解しましょう。

 

セントラルドグマというのは、

DNAに記録されている情報をもとにmRNAを作り、

mRNAの情報をもとにタンパク質(の1次構造)を作ること。

キーワードは(複製・)転写・翻訳ですね。

DNAから(m)RNAを作ることが転写、

mRNAからタンパク質を作ることが翻訳でした。

複製はDNAからDNAを作ることですから、

細胞分裂のときに必要ですね。

ここは、看護師国家試験でよく聞かれるところですよ。

DNAとRNAの違い等についても、見直しておいてくださいね。

 

セントラルドグマは単なる「暗記対象」ではありません。

生物(細胞)が生きていくために必要なことを、

最小限度までまとめた姿です。

たとえ単細胞生物でも、

細胞分裂ができないと自分を増やせません。

そして細胞膜を作れないと、

自分とそれ以外を区別できず、生きていけません。

細胞膜の成分は(複合)脂質とタンパク質。

複合脂質を作るためには、

脂質にそれ以外のもの(糖やリン酸)をくっつける酵素が必要です。

酵素の主成分はタンパク質。

だからDNAに記録されている情報から

タンパク質を作ることが大事なのです。

 

ここまで復習できれば、

薬のおはなしに入っても大丈夫そうですね。

薬は、その目的に合わせていろいろな形をしています。

受容体に対して作用薬(アゴニスト)と

拮抗薬(アンタゴニスト)のところでおはなししましたね。

そのときは細胞膜にいる受容体のおはなしでした。

同時に核の中で待っている脂溶性ホルモンの受容体の存在も、

一言だけ紹介してあります。

 

核の中で待つ受容体は、転写のときにDNAにくっついて

「どこからどこまで(範囲)」、

「どのくらい(回数)」などの情報が届くのを待っています。

ここにホルモンがはまって範囲・回数等の情報を受け取って

転写が始まります。

転写されて、翻訳されて、できたタンパク質を組み立てると…

酵素(の基本部分)ができあがり。

酵素が働いた結果が、「ホルモンの効果」です。

 

同じ脂溶性でもビタミンのおはなしになってしまいますが。

ビタミンAの過剰症に催奇形性があります。

ビタミンA本来の働きは、

「上皮細胞保護と視覚(特に明暗担当)」でしたね。

この「上皮保護」というのは、

上皮組織に属する細胞の、細胞分裂を正常にコントロールするという意味。

ここを正常にコントロールできないとどうなるか。

不足すると(視覚に出る悪影響の夜盲症が代表ですが)、

皮膚や粘膜の傷の治りが遅くなります。

多すぎたとき、

成人では頭痛・めまいや皮膚炎、肝臓蓄積による肝障害等が出ます。

胎児期だとどうなるか。

胎児期はヒトの体を作るために本来細胞分裂が盛んな時期。

そこに異常なほど「ここの細胞を増やせ!」と情報が来たら、

特定部位の細胞だけが増えすぎて、

正常なヒトの形から外れてしまいます。

これが催奇形性の基本です。

 

次回は、催奇形性のある薬の具体例を確認しましょう。